てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
カトリック(ぽい)ゴシックファンタジーBL。話は退屈だけど、魅力は高い
独自の宗教観(カトリックぽい?)で描かれる、BL寄り友情劇なゴシックファンタジー?全25話。
※作品データベース様より転載
【良い点】
ローマカトリックがモチーフと思われる?(神父でなく司教なので)荘厳な宗教要素を下敷きにした世界観(の雰囲気)が良い。
徒に説法臭いわけではなく、美少年美青年たちや文字用いた異能バトルを映えさせるオシャレ感。
作品の根底に無償の愛と献身があり、これをキリスト教(がモデルの独自宗教)のイメージで純化してBLを楽しむ
というコンセプトなのかな?と。終盤の司教試験で愛や赦しなどのテーマは分かり易い。
日本の創作ではネガティブに描かれがちなカトリックの、肯定的な側面を作劇に活かしている印象。
また食文化など独自の世界観を構築する意欲を感じる。
シリアスも多いが日常回が大半で見やすい。
女性向けと思われる美形男子たくさん、キャラデザもハイレベルで絵的に楽しめる。シスターたちや人魚など女性陣も可愛い。
キャラデザ以外の作画水準も高く、宗教施設や教会街の描写、杖から文字出す異能バトルシーンなど見所が多い。
作画が綺麗なのは大事、ストーリーが停滞していても25話完走するに足る。
楽曲もハイレベル、OPEDやBGM全般で宗教ファンタジー感出せていた。特に讃美歌めいたEDが好み。
世界観の雰囲気、キャラ、アニメーションの質が良いので、ストーリー進展が停滞していても25話楽しみうるポテンシャルがある。
大筋のストーリーは非常にスローテンポというか25話かけて殆ど進展しないが、
その分を主人公の少年テイトの友情や交友からの葛藤や成長に注力する作風。
原作未読だけど、どうやら要素を大幅に削って、主人公中心のドラマに専念している模様。
自分のような世界観や設定も求めたい視聴者的には物足りないが、
おそらくメインターゲットが求めるキャラ萌え的に正解なのだろう。
最初の親友ミカゲ、ミカゲ亡き後親交深めていくハクレンらとの友情は無私無条件で相手を思いやる純粋なもの。
「俺がお前を守れる力がついたら友達になってほしい」などなどこっ恥ずかしいセリフを美少年同士で交わしまくり。
明らかに女性向けの萌えシチュエーションではあるけれど、友情の尊さは不変の良さなので、悪い気はしない。
BLといっても少年の純粋な友情、互いにてらいなく真っすぐにリスペクトし合う、特にBL好きでもない自分から見ても尊い。
どちらかというと早々に退場したミカゲよりも、付き合いの長いハクレンとの関係の方が好き。
イケメン司教たちが粒揃い、特に不良ぽいが懐の広いフラウ司教は交流掘り下げが丁寧で良かった。
悪役も速水奨ボイスが渋いアヤナミが悪カッコイイ。
重視されていないとはいえ、主人公にまつわる貴種流離譚めいた独自設定や敵の狙い云々で興味持続させる要素もある。
テイトがちゃんと物語の中心にはなれていた。
最終話はフラウ司教との二人旅でこれからの展開が大いに気になるラスト。おれただエンドながら悪くない。
【悪い点】
ストーリーのテンポが著しく劣悪でほぼ停滞、ストーリー重視な視聴姿勢だと飽きがちと思われ。好意的な自分でも飽きがちだった。
テイトにまつわる秘密、帝国と滅ぼされた王国の関係、セブンゴーストやらフェアローレンやらの世界を揺るがす諸要素が
意味深に絡みつつ、中途半端で分かりづらい。25話かけた割にちっとも進展せず。
最終話でようやくテイトが自らの立ち位置を自覚し旅立つ、ここから本当の物語の始まりだ!…遅い。
キャラドラマが良いとはいえ、流石にもう少しくらい本筋ストーリーに起伏が欲しかった。
必ずしも悪い点ではないけれど、ドラマが内省的すぎてやや辟易。
とはいえこの点は本作の持ち味と思われ。好みが割れそう。
敵陣営の掘り下げも希薄で単にアヤナミに忠誠誓ってる戦闘狂集団の域を出ず。良さげなキャラはいるだけに勿体無い。
アヤナミも何やりたいのかが終盤まで見えない。
味方側もフラウ以外の司教たちや、シスターや人魚などの掘り下げが殆ど無い。
総じて魅力がありそうなキャラ豊富な割には極一部のキャラ以外の描写が薄い。
【総合評価】6点
ストーリーの退屈さを差し引いても、独自の魅力がある。
本質的にキャラ萌え作品なので、可愛いかカッコイイ男子たちに魅力感じられれば、ストーリー進展は重視しないタイプ。
「八犬伝ー東方八犬異聞」とか、最近だと「ヴァニタスの手記(カルテ)」辺りと似たタイプか?
円盤売り上げ56000枚の人気作品の模様、自分は正直絶賛する程ハマれないけれど、良い作品ではあると思う。
評価は体感の面白さ的には普通だけど「良い」以上を付ける価値はありそう。