「名探偵コナン 灰原哀物語~黒鉄のミステリートレイン~(アニメ映画)」

総合得点
65.1
感想・評価
11
棚に入れた
74
ランキング
3494
★★★★☆ 3.3 (11)
物語
3.4
作画
3.2
声優
3.4
音楽
3.2
キャラ
3.4

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

2023年の劇場版『名探偵コナン』は灰原イヤー

今年の劇場版コナンは灰原さんが海でピンチらしい。
ということで、灰原さんの過去のピンチ等を、TVアニメシーズン22「漆黒の特急(ミステリートレイン)」編(701話~704話・2013年放送・視聴済)を中心に振り返る特別編集版。
商魂たくましい上映企画に、今春公開予定の新作映画の予習復習も兼ねて、
終着駅の名古屋駅近くの映画館に出向いて、まんまと乗ってみることにしました。

【物語 4.0点】
灰原哀及び“黒の組織”との関係のおさらい。

中核のミステリートレインのエピソード。
同列車のウリのミステリークイズを隠れ蓑にした殺人事件。
これだけなら、手の込んだトリックを仕込み過ぎて出した尻尾を、
コナン君がどう捉えるのか?今のがトリック解明のサインかな?
という視点で眺めれば、いつも通り気楽にミステリーを満喫できる。

ですが、今回の場合は、その殺人事件を隠れ蓑にした、黒の組織による灰原哀問題の処理。
コナンも車内という密閉空間にて、事件解決の手がかり発見時にサインを出すのはもちろん、
黒の組織内の灰原抹殺派&有効活用派との三つ巴の灰原争奪戦に使える手駒の確保についてもサインを出す。
さらには犯行予告を出した怪盗キッドまで蠢き出し、伏線&人物相関は複雑化。
これらをアガサ・クリスティーのオマージュも絡めながら繰り出して来るので、油断すると頭がパンク状態にw


ただ、蘭の空手も、コナン君の必殺シュートもない。
映画館で頭から知恵熱の蒸気を上げながらミステリーに挑むコナンもたまには良いものですね。


【作画 3.0点】
アニメーション制作・トムス・エンタテインメント

懐かしの灰原初登場回(129話)~704話まで放送期間10年以上の中から灰原をピックアップする冒頭。
デザイン変遷を振り返ると、永遠に事件に巻き込まれ続ける小学1年生と思われたコナンたちも、
少しずつですが着実に大人の顔立ちに近づいていると分かります。
あとはツンツンしていた灰原さんも少しずつデレて可愛くなってきていることもw
それと灰原さんは公共の乗り物の利用は控えた方が良いかなとも。

映像はTVアニメ版の解像度を向上させた程度なので、
劇場版クオリティという観点では特筆すべき部分はありません。


【キャラ 4.0点】
灰原哀({netabare}シェリー/宮野志保{/netabare})は“もうひとりのトリプルフェイス”というのは後年付け足された文句。
今エピソードの価値はそもそもの“トリプルフェイス”バーボンの正体が{netabare}安室透{/netabare}だと明らかになる点にもある。

コナン君(工藤新一)は言うに及ばず、この列車内外、複数の顔を持っている人間ばかりで嫌になりますw
事件後、現場及び周辺から多数の変装用マスクの残骸が発見されるシュールな光景が目に浮かびますw
適宜、各人が使い分けている顔を親切に解説してはくれますが、私も分かったような分からなかったようなw
このエピソードほど、蘭や園子、少年探偵団のみんなといった、推理には寄与しないけど、裏表のない人物たちがありがたいと思える話も珍しいです。

当初は“黒ずくめの組織”と称されていた“黒の組織”
そもそもシリーズ初期の段階で、組織の大目標などの基本設定を固めなかったのが痛恨。
不可解な行動は内部分裂のためと強行突破するためにキャラクターが複雑化。
畳めない大風呂敷と化した今エピソードTV放送が既に10年前。
そろそろ組織のビジョンくらいは知りたい所ですが、これこそシリーズ最大の難題かと(苦笑)


【声優 4.0点】
灰原哀役の林原 めぐみさん。特別編集版のご挨拶として冒頭ナレーションも担当。
コナン役の高山 みなみさんに茶々を入れられ照れながら口上する開幕前が一番の聞き所w

ミステリートレイン編では命の危険ばかりではなく、コナン君から感染した風邪にも苦しめられた灰原さん。
普段の高飛車とは違った弱々しいボイスも印象的。


列車が蛇の腹でどうのと黒くて痛いセリフを臆面もなく吐くジン役・堀 之紀さん.
ベルモット役・小山 茉美さん、バーボン役・古谷 徹さん。
車内を徘徊する謎の火傷の男に池田 秀一さんまでキャスティングし、
黒の組織はベテラン声優陣により重厚化し過ぎて、もはや手に負えませんw


【音楽 3.0点】
劇伴は大野 克夫氏によるお馴染みのBGM。
音源もオーケストラではなくTVアニメ版準拠でしょうか。

トリックに音も絡む内容なので劇場で聞き取りやすいのは助かります。

主題歌はなかったですが、どうせならミステリートレイン編放送当時のB'z「Q&A」でもアレンジして黒の組織の暗躍を煽ってみても良かったかも。


【感想】
コナン君を頭脳は大人の小学生にするためにこしらえた“黒の組織”設定も、
国家組織も巻き込んで随分、大仰なことになっているなw
十年前の視聴時抱いた感想は、今回の鑑賞でも変わりませんでした。
ですが灰原関連の整理には使えるエピソードだと再認識。

だからと言って映画館に足を運んでまでわざわざ……。
という方はTVアニメ701~704話。前振りのエピソードまでおさえたければ699話辺りから。
改めて灰原哀を振り返ってみてはいかがでしょうか。

投稿 : 2023/01/16
閲覧 : 209
サンキュー:

5

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