プラ さんの感想・評価
3.3
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
あなたは何をお金で買いますか?
舞台はリーマンショック後の世界と思われる。”お金”をテーマにした作品。
このアニメでは私たちが普段暮らしている”現実世界”と、ウラの世界”キンユウガイ”が存在していてる。二つの世界はリンクしていてるが、現実世界の全員がキンユウガイの存在を認知しているわけではなく、選ばれた人間だけがキンユウガイと現実世界を往来できる。ある日突然、マサカキという謎の人物が目の前に現れ"アントレプレナー"に選ばれたと告げられ、半強制的にキンユウガイへ連れて行かれる。
キンユウガイではディールと呼ばれる闘いが日々行われており、勝てばお金がもらえ負ければお金を失う。アントレプレナー達はアセットと呼ばれる相棒と一緒に闘う。アセットはアントレプレナーの"未来"を現しているらしいが、人型だったり動物だったり生き物ではなかったり、容姿はさまざまである。つまり、アセットを担保にし、資産を稼ぐのがディールである。
キンユウガイと現実世界はリンクしている。キンユウガイにおいてディールで負けてすべての資産を失い破産したアントレプレナーは、現実世界における"未来"を失う。職を失ったり、家族を失ったり、未来の失われ方もその大きさもさまざまである。また、キンユウガイ自体がなくなると、現実世界における街、国さえもなくなる。
そんなキンユウガイに足を踏み入れることになったキミマロ。彼はミクニという男に出会い、キンユウガイのいろはを学んでいく。ミクニは極東キンユウガイにおける長のような存在であり、キンユウガイで得た資産を使って現実世界においても強い影響を及ぼしている。何も知らないキミマロは最初ミクニに師事し、ミクニの理念に従って活動していくが、現実世界で自分の身の回りに起こったことがキンユウガイに関わっていたことを徐々に知り始め、現実世界を裏から操るキンユウガイ、そしてミクニの理念に疑念を覚えていく。
ちょうどその頃、キンユウガイ崩壊の余波ーCーが訪れようとしていた。ミクニはどんな手段を使ってでもーCーを防ごうと、キンユウガイの中枢にある"輪転機"を回す。それは現実世界のあらゆる未来を担保にお金を産み出す行為であり、現実世界が荒廃していく。その様子を見たキミマロはついにミクニの元を離れ、対決することを決意する。
未来のために現在を救うべきだと考えるミクニ、そして現在を救うために未来を棄てるべきではないと考えるキミマロ。世界のこれからを決めるディールがついに始まる……この闘いの末に世界は変革するのか……
このアニメを観て印象に残るのは「現在あっての未来」か「未来あっての現在」かという問いであろう。ここで、次のセリフに注目してほしい。キミマロが何のために金を稼いでいるのかと情報屋のタケダザキに問うたシーンである。
「信用のあるところに金が集まる、金が欲しいのではなく信用が欲しい。でも、結局金があるところに信用は集まるから金が欲しい」
信用→未来、金→現在に置き換えられないだろうか。結局、人は未来よりも現在を大事にする生き物であり、世の中を動かす唯一無比の存在が"金"なのではないか。
以下感想。いろいろと考察できそうなアニメではあるが、考えさせるには尺が短すぎる。アントレプレナーに選ばれる条件、ディールが存在する理由、キンユウガイができた理由とその端緒など、語られていない部分が多い気がする。