プラ さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
高校生が思春期から大人に成長していく一コマを描いた物語
ごく平凡な日常を送っていた高校生たちに突如訪れた非日常。遠い宇宙からやって来た宇宙人との出会いがきっかけで、4人の高校生たちの関係性は変化し、それぞれ思春期なりの葛藤を抱く。それぞれの想いが交錯し、関わり合いながら、一歩大人へと近づいた高校生たちの一夏を描いた物語。
物語の中心はカイト・テツロウ・カンナ・ミオの高校生たちと、宇宙からやって来たイチカの5人。
物語はイチカが地球に不時着するところから始まる。イチカは自らあの遺伝子に刻まれたある風景を求め、地球をめざしやって来たのだった。しかし、着地に失敗し、その際に外でカメラ撮影をしていたカイトを巻き込んでしまう。死にかけのカイトをイチカであったが、その後の様子を見るために留学という設定で高校に編入し、運よくカイトの家に居候することになる。カイトはイチカに一目惚れ
しているようだ。
テツロウのアイデアで5人で映画製作をすることになる。そこに、突然現れた謎の上級生レモン。彼女が中心になり、夏休みに一本仕上げることを目標に映画製作をスタートさせる。
映画はほぼアドリブで進行したり、CGが入っていたりと、レベルが高いのかテキトーなのかわからない。映画製作の過程で、それぞれの想いが明らかになる。イチカを好きなカイトのことをカンナは好きで、そのカンナのことを幼馴染のテツロウは好きで、そのテツロウのことをミオは好きで・・・両想いのイチカ・カイトとは対照的に、両想いになれない関係に3人は葛藤を抱きながらも、映画製作は進んでいく。
そんな6人に最大の試練がやってくる。イチカの星から「お迎え」が来る。イチカの星では地球は低ランクに指定された惑星であり、原住民と関係性を持ってはいけないらしく、お迎えがくれば即連行である。
しかし、それに対処する方法が唯一あった。それは、イチカの記憶に残る風景を見つけ出し、地球とイチカの星の関係性が昔あったことを証明すること。6人はなんとか「記憶の場所」を探り当てたが、その日にイチカのお迎えが現れる。レモンを中心にみんなで協力し、イチカのお迎えに対抗する。敵襲を遠ざけ、イチカとカイトは「記憶の場所」に辿り着く。しかし、そこで待ち受けていた運命は・・・
昔、イチカと同じように地球に不時着し、地球人と結ばれたが、結局宇宙に連れ戻されて記憶を封印されてしまった宇宙人がいたらしい。その宇宙人が遺伝子に刻んだ記憶がイチカとカイトに語りかける…”見つけてくれて、ありがとう”と。その宇宙人が地球に唯一遺した証拠は、木に刻んだ恋人との相合傘。
なんて運命は非情なんだろう、その木はなくなっていた。証拠を見つけられなかったイチカにお迎えがやってくる。カイトが抵抗できるわけもなく、イチカは宇宙へと還って行った・・・・
地球に遺ったのは、イチカとの一夏の思い出だけ。突然学校を去ったレモンから授かったフィルムとカイトのカメラが映したイチカの記憶、この夏の思い出を映像として残した。
イチカが去った後も、4人は仲良く過ごしていた。ミオは想いが叶ってテツロウと付き合うことになり、カンナは恋は実らなかったが前向きに高校生活を楽しんでいるようだった。カイトは、イチカとの思い出の続きをフィルムに残そうと、カメラを回し続けるのであった。
最後のセリフが非常に印象的だった。
「死んだ人間は、きっと誰かの心へと旅立つのだ。
思い出となって生き続けるのだ。
けれど、それもやがては消えていく。
だから、人は何かを残したいと願うんだ、忘れてしまわないように…
忘れないように、僕はカメラを回し続ける。
フィルムに焼き付けたあの夏を、その続きを…」
二度も大切な人たちを失くしたカイトは何を思ったのだろうか。大切な人を失う悲しみを乗り越え非常に前向きになった姿は、まさしく大人であった。カイトは最後にこう語る、絶対ハッピーエンドの映画を撮るんだ、と。涙が止まりませんでした。