えりりん908 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
鳴弦、還り来る。
京都アニメーションさんの作品の中では、
ちょっとだけ地味で、
でもその分を補ってあまりある静逸と所作の美に満ちた、
素敵な小品。
そんな感じだった「ツルネ」が、まさかまさかの2期制作、{netabare}開始です!
湊をはじめとする、風舞高校弓道部のメンバーが帰ってきてくれた。
もうそれだけで、これは素直に嬉しいです!!
2期にあたっては、校内スポーツ大会の模様で始まって、
ずいぶんと賑やかな感じ。
そして、風舞のメンバー再紹介もつつがなく、
他校に進んだ因縁のライバルだけでなく、
全国大会で相まみえることになるだろうニューキャラもちょっと出てきたりして、
お話は大きく広がっていきそうな予感。
それでもしっかりと、
武道としての弓道の美しさは変わらず描かれ、
最後には「矢声」という発声での締めで。
静寂な弓引きたちのものがたりは、
よりスポーツ的な演出になりそうで、
別な感じでの展開になりそうです。
{/netabare}おおいに期待してこれからのストーリー、見守って行きます!
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最後まで観終えて、強く感じたこと。
高校生男子たちの{netabare}、青春の大切な時期を掛けて、
ひとつのことに熱中する、その迷いや悩みや軋轢や、決意や意志や行動の意味。
1期冒頭に、夜の夜多神社での滝川さんの、神話のような弓引きに魅せられて始まる、
そんなストーリーが、
2期では高校生の部活らしい活気と競争心に振り切られて、
湊君は、1期のころの「早気」は克服できても、
今度はサブタイトル通りに、5人のつながり=「息合い」の問題に直面。
どうにかして克服しないと、せっかく掴んだ全国大会で、
満足のいく結果も残せないと焦る5人。
結果は途中敗退でしたが、
「やれることはやったし、息合いについても、『何か』を掴めた」
そんな充実感、たしかに手にすること、出来たと思います。
京アニさんではお決まりの、クライマックス回の次のエピローグ回が、
すごく素敵でした。
スポーツとしての、勝ち負けを競う弓道から、
最後に、お話の端緒であった、
神事として、夜多神社での奉納の弓引き。
スポーツではなく、つながりの射を引く、その美しさ。
息合いとは結局、つながりの絆を信じあう一瞬のことと体得する瞬間。
湊や、蒼の、弓を引くときの葉の緑が舞い散る見事な演出。
地味だけど、
地味だけに、
きれいで、静逸な、そんな作品に出会えて、ここまで来られて、本当によかったと思います。
1期ではフォーカスの当たらなかった女子部員3人の公式戦での頑張りも、いい見どころでした。
男子は青葉が舞うところで、女子の弓引きでは花びらが舞うのも、素敵な演出でした。
あと、蒼君の妹さん、上流社会の箱入り娘の素直過ぎる振舞いっぷりが、嫌味でない方に振れていて可愛かったし、風舞だけでなく他校の様子も丁寧に追いかけられていて、よかったです。
そして結局は、矢声とともにツルネの鳴り響く様の見事さ。
こんな地味な題材を、こんなに綺麗に描ける。
荘厳で{/netabare}、美しい世界でした。