hiyama さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
どの視点で見るかによって評価は変わると思う。
好き嫌いを別にしても2022年アニメ作品の中でも上位に位置するクオリティのアニメであることは間違いない。
ただ、だからこそ厳しい目で見てしまう意見も多く、また事前PVの時点での高い期待値に達していないというような評価も少なくはない印象。
ストーリーやキャラクターについての評価であるならそれは原作の問題であるので仕方がないことだが…アニメとしての出来に対する落胆は残念な部分。
実際…CGアニメーションの出来栄えは決して悪くはないのだが、若干気になる場面が目立ってしまった感は否めない。
特に最終話のあるシーンが露骨過ぎて少し笑ってしまった…悪い意味で。
そして何よりも演出の問題が大きい。
原作から改変された『映画を思わせるようなシーンの挿入』の仕方。
必要性がない場面や動きを含めた映像はある種の面白さがあるのは認めるし、アニメにおける新しい試みや一つの挑戦と言ってもいい。
しかしながら原作ファンからは不評な傾向があり、新規ファンからしても疑問を抱く部分でもあったのはレビューや視聴サイトのコメントを見ても明白。
不評以外にも「原作とは違うがこれはこれで良い」「映画のような演出が素晴らしい」という評価も少なからず存在しており、単純に良し悪しと割り切ってしまうことはできないのも事実。
しかし評価としては『賛否両論』と言わざる得ない。
個人的には賛寄り。ただ全てにおいてではなく7割賛美。3割否定という感覚。
ああいった「間を埋めるようなシーン」をあえて含めるのは面白いし、作品としてのクオリティの高さゆえに何気ない画ですら「見ていられるもの」として描かれているのは強い。
ただ、原作には感じられたスピード感がアニメでは欠落していたように思える。
つまりプラスの側面を大いに感じられる一方で、マイナスな側面も無視できるほど小さくは決してない…という感じ。
原作のアニメ化としてあくまでも不可分として考えるか、アニメはアニメとして切り離して見るかでも評価は変わるだろうし…。
演出を挑戦的な試みとして捉えるか、不要な異物として考えるかでもやはり変わってくると思われる。
また音楽面では驚きに溢れていた。
まずOPの映画パロディは知っている人ならニヤリとできただろうし単純にクオリティが素晴らしい。
アクション作品ならではのワクワク感に、方向性は異なるが『バッカーノ』や『デュラララ!!』のOP(あれはスナッチのみのパロだが)に通じるような楽しさがあった。
EDは毎回変更という豪華さ。
特別EDが1話だけ挿入されたり、既存の有名な曲で毎回のようにEDが変わるというのは『日常』や、ヒロインが有名ソングを歌う『からかい上手の高木さん』であったり。
エピソードごとに変わるという演出は物語シリーズであったが…チェンソーマンのEDとして新規の曲が12曲分用意されているというのは驚異的。
映像や曲の好みはあるがEDの出来はどれも素晴らしい。
なお自分は原作既読済みであったため動きの良さやアニメとの演出の差異などを重視してしまったが…初見ならストーリーも楽しめたのだと思うと羨ましい限り。