タック二階堂 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
よもや、よもやのS評価。
今期の覇権候補が飛び出してきました。
詳細は公式サイトでも見てください。
家が隣同士で同級生の相沢智と久保田淳一郎。空手道場を営む父の教育のもと、トモ(智)ちゃんは男勝りの豪快な少女へと成長…したんですが、高校に入り、自分が女の子であり、幼なじみの淳一郎(CV:石川界人さん)に恋していることを意識し始めたのですが…
というお話。
原作は柳田史太さんによる星海社がTwitter上で展開する日刊4コマ漫画配信サービス「ツイ4」にて連載のコミック。制作は「荒ぶる季節の乙女どもよ。」などのLay-duce。「群青のファンファーレ」などというロクでもない作品を作ったもんで不安視していましたが、初回は上々でした。
声優にはトモちゃんに高橋李依さんを起用。いやあ、達者ですね、この人は。男勝りな女の子を見事に演じています。そりゃ毎クール、メインで引っ張りだこになるはずだよ。こういう役どころも行けるんですね。「令和の田中真弓」「令和の緒方恵美」といっても過言ではない。いや、お二方とも令和でも現役ですがw
ストーリー的には「宇崎ちゃんは遊びたい!」の亜種といった感じ。どう見ても好き同士だろという2人を、サブキャラの群堂みすず(CV:日高里菜さん)、田辺達巳(CV:松岡禎丞さん)らが生暖かく見守りつつ、いじって遊ぶといった構図。
4コマ漫画が原作のアニメ化ですが、見事に構成した初回だったと思います。ショート漫画原作のラブコメでは「氷属性男子…」のほうが前評判が高かったですが、こちらのほうが圧倒的に面白い。これは思わぬダークホースからの本命候補として頭角を現した印象です。
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
初手が面白いのはラッキーパンチの可能性もあるわけですが、2話も引き続き面白い。これは本物かも。
特に新登場のキャロル・オールストンというキャラがいいですね。これが絡んでくることで、ギャグ要素がさらに増した印象。日常モノは困るとキャラを追加するというネガティブな面がありますが、これは狙い通りのキャラ追加。ジャンルは違いますが「女子高生の無駄づかい」的な感じで、キャラを使い捨てせずに上手く絡めていけば、かなり面白い作品になりそうです。
{/netabare}
=====第7話視聴後、追記です。
{netabare}
いやあ、お見事。
ここまで、じっくりと各キャラの魅力を丁寧に描いてきて、ここに来て、なぜ淳がトモちゃんのことを男だと思ってきたかの過去回想を挟んできました。なるほど、そうだったのねと合点がいく幼少期のAパート。
で、一転Bパートでは海水浴。なんで真冬にそんなエピソードと思わなくもないですが、幼少期のトモちゃんのガキ大将のような雰囲気から、Bパートでは巨乳ビキニで照れるトモちゃん。うんうん、トモちゃんは女の子ですねw
圧倒的な作画があるわけでもないし、TSモノが跋扈する今期で、男っぽい女の子のラブコメという地味な題材で注目されていない本作ですが、なかなかどうしてスマッシュヒットを飛ばしています。うん、面白いですよ。
{/netabare}
=====第9話視聴後、追記です。
{netabare}
いつもふわふわしながらも、ちょいちょい毒を持って来るキャロルの素顔を出させる回。
いやあ、面白かったですねぇ。
これほどまでにアベレージの高いラブコメ作品も稀有ですよ。僕の中では「僕らはみんな河合荘」「ロマンティック・キラー」に比肩する良作ラブコメになりそうな感じ。
うん、今回も文句なし。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
いや、面白かったです。個人的には、今クールでは、まさかのS評価です。
作画は普通という感じですが、ストーリーや構成が文句なし。特に良かった点を、いくつかに絞って紹介します。
1.ヒロイン・トモちゃんが魅力的
なんといってもヒロインのトモちゃんが魅力あるキャラだったことが一番でしょう。CVは高橋李依さん。演技の幅が広く、澄んだヒロイン声は若手女性声優の中でもトップクラス。メインを張ることが多いのも頷けます(来期は爆焔娘を演じますね)。
トモちゃんのキャラデザも、男勝りでありながら巨乳美少女という非常に魅力的なキャラ。性格も、女の子としてのあり方を学んでこなかったため、とてもウブで可愛らしい。おまけに八重歯と、ウィークポイントが少ない堂々たるヒロインでした。
2.嫌悪感のない男キャラ
ラブコメは男に嫌悪感がないというのは重要なポイント。これは逆の悪例を考えればわかると思いますが「彼女お借りします」「ひげを剃る。そして女子高生を拾う」などのラブコメの主人公は、視聴者に嫌悪感しか与えないキャラでした。
これに対し、本作の淳一郎は体育会系の真面目で努力型のキャラ。恋愛にも奥手で、トモとのラブコメももどかしいほどですが、こういった不器用なキャラなので嫌悪感が少なかったのだと思います。
3.脇を固めるサブキャラが魅力的
トモちゃんの親友・みすず、転校生の金髪外国人・キャロルともに、非常に魅力的なキャラに仕上がっています。そして、そのふたりの掘り下げも上手。だからこそ、メイン2人との掛け合いも生き生きとして、作品全体を魅力的なものへと彩っているのだと思います。
もちろん、ギャグ作品としてトモの両親やギャル2人、不良グループなども笑いを提供してくれます。サブキャラが魅力的なのは良作だと思っています。
4.これが4コマ漫画なのかと思うほど巧みな構成
毎回A、Bパートでショートエピソードを重ねる構成なので、そこが4コマ漫画なのかなという片鱗を見せはするものの、全体を通して一本筋の通ったテーマ(言うまでもなくトモと淳が付き合うまで)を中心に、みすずとの親友関係や、そもそもトモが淳に男として見られてきたこれまでの背景などを丁寧に描きます。
これは制作スタッフの演出、脚本力の高さを感じます。
5.EDが秀逸
OPはさておき、EDが秀逸な楽曲。女子メインキャラ声優3名による歌なのですが、これがいいんですよね。しかも、淳など男キャラメインの回では男性声優が歌うという遊び心もありました。印象的な楽曲でよかったです。
このように、良作としての要素が非常に多く、しかも最終話のまとめ方も上手。これはS評価にしないわけにはいきません。絵柄とか作品のテーマ的に、面白くてもA評価止まりというギャグ主体のラブコメで、極めて珍しいS評価作品となりました。
これは誰にでも安心しておすすめできる面白い作品です。
{/netabare}