薄雪草 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アリアは、魅せきれたか?
幼い頃からずっと映画を観てきたポンポさん。
彼女はエンドロールを観終えずに座席を立つ。
それは生理現象だったり脳の活動性だったり。
そんなリミッターのなかで彼らは仕事をする。
最高のエンターテインメントを生み出すために。
~
ポンポさんが映画作りに求めるものは、才気煥発。
能う才覚。
適う才知。
叶う才気。
あまたの才能が結集する総合芸術。
それが、ポンポさんのアリアだ。
だから、エンドロールの最後まで観せたくなる。
その "監督の名前" まで。
~
誰が、何が、エウレカを呼び覚ますのだろう。
無数のイメージがポンポさんの脳の中を駆け巡っている。
世界観、脚本、キャスト、スタッフ、観客、そして・・・。
問題は、だれにそのアリアを歌わせたいのかだ。
そのアリアを、だれが輝かせられるのかだ。
ポンポさんは分かっている。
だから、ジーンを "指名" する。
~
映画体験。
うんざりするほどに。
全てを記憶するほどに。
ただ一つの夢と生きたくて。
それらが出逢い、試行錯誤し、結実したとき。
観客もまた、エウレカを体験する。
未知のアドレナリンが恍惚とさせるその銀幕に。
~
90分の真剣勝負。
人生をかけたアリアが披露される。
その芳醇に酔わされ、その座席に夢を見る。
やがてエンドマークが告げられ、スタッフロールが始まる。
マエストロたちはきまって控えめだ。
観客たちの溜息はどうか。
アリアは魅せ切れたか。
90分への創造と格闘が、またそこから始まる。