エイ8 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
チープな3DCGではあるが他の追随を許さない圧倒的なバトルシーン
『RWBY』(ルビー)は、アメリカのルースター・ティース・プロダクションが制作したWEBアニメシリーズ。
第一シーズンのVolume 1全16話(July 18, 2013~November 7, 2013)(wikipedia、英語版からの引用も含む)
過去にVolume 3(以下Volumeを「期」として表記)まで視聴済み。とはいえ今となってはどういうきかっけで観たのかは覚えておらず。調べてみると『RWBY Volume 1-3: The Beginning』と題したものが2017年7月より全13話放送されていたそうなのでひょっとしたらこれを観ていたのかも。
某サイトで最新8期まで見放題となっているためこの度改めて全部を視聴。4~8を観た後に再度1~3を観るという変則的なことをしてしまったせいもあってか、どうしてもちょっと設定の粗が目に付いた気がしました。しかしながらそれは、モンティ・オウム(Monty Oum)という本作の原作を手掛けた人物が3期を最後に亡くなってしまったことも大きな要因としてあると思います。ついでに言うと、シナリオ展開上という理由もあるでしょうが、4期以降は明らかにキャラ達の掛け合いの魅力が減退しているように感じました。逆に言うと3期までは非常に活き活きと、そして愉快なコミュニケーションが展開されています。『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』のような、ようするにアメリカンスクールドラマ的雰囲気がそこにあるのです。これは日本の学園ものとは一線を画すノリで極めて新鮮です。
実のところ、本作は本質的に言って英語が理解できなければその奥深い世界観がわからないかもしれません。この度本作のレビューを書くにあたって少し調べてみたのですが、英語版の会話はかなり厳密なこだわりのもと作られているように思えました。ですがこれは、日本語に吹き替えるとどうしても消えてしまうという欠点があります。特にアニメという媒体では口パクにある程度合わせないといけないので尚更です。
これは本作に限らず海外ものを翻訳したものは多かれ少なかれこういうことになると思います。代表的なのは『不思議の国のアリス』でしょう。作者のルイス・キャロルは数学者、論理学者でもあり、英語でのアリスは極めて高度な言葉遊びが散りばめられていることで有名なのですが、日本語に訳されたものでは(勿論訳者にもよりますが)おそらくちょっと不思議な少女向けおとぎ話作品ぐらいの感想しか抱かないのではないでしょうか。アリスが長年に渡って海外で支持され続けているにもかかわらず日本ではイマイチなのは言語的理由もあるのだと思います。(まあ、でもこれはお互い様でしょうけど。)
とはいえ、この『RWBY』は日本語で観ても充分に楽しめます。キャラ達の掛け合いだけでなく、バトルシーンも実に迫力満点です。本作は3DCGアニメなのですが、それ自体はお世辞にも上質とはいえません。特に1期はモブキャラをただの真っ黒なシルエットとして描写するなど甚だしいコストカットがされているのですが、それでもバトルは一切の妥協無く極めてダイナミックに描写されています。正直日本のアニメであってもこのレベルのバトルシーンは記憶にありません。というか、ハリウッドの大作アクション映画であっても躍動感という意味では本作に及ばない、少なくともそう思わせるぐらいの出来です。あたかも非常に上手い格闘ゲーマーたちの試合を観ているかのようなのです。
さて1期は全16話と8期中では最大の話数で構成されていながらも視聴時間は1時間56分と最短となっています。逆に言えばサクサクと物語が進んでいくので中だるみもあまりありません。(尚、1パッケージの中でOPとEDは一回のみであるため各話の区切りは暗転によって判断できる程度のものです。)
1期ではルビー、ワイス、ブレイク、ヤンというチームRWBY(ルビー)の面々、並びにジョーン、ノーラ、ピュラ、レンというチームJNPR(ジュニパー)が登場。この後も彼ら彼女らがシリーズのメインキャラクターとして多く登場、活躍していきます。(尚、メインキャラのほとんどは1期に現れますが、1期に現れたキャラの全てがメインというわけではありません。例えば、カーディン・ウィンチェスター)
物語はひょんなことから銀色の瞳を持つルビー・ローズ (Ruby Rose)が指名手配犯ローマン・トーチウィック (Roman Torchwick)と対峙したことからビーコン・アカデミーの校長であるオズピン教授 (Professor Ozpin)に見出され、飛び級でハンター養成学校であるビーコン・アカデミーに姉のヤン・シャオロン (Yang Xiao Long)と共に入学を果たします。(姓が違うのには理由がありますが、後に語られることになるのでここでは割愛。)
そこでダストを取り扱う最大手企業“シュニー・ダスト・カンパニー”の令嬢ワイス・シュニー (Weiss Schnee)や実はファウナスと呼ばれる獣人であり、元「ホワイトファング」のメンバーでもあったブレイク・ベラドンナ (Blake Belladonna)と共にチームRWBYを結成し、紆余曲折を経ながらも仲間として結束していくという流れです。
また、本作には事実上もう一人の主人公と言っても過言ではないキャラがいて、それが金髪イケメンナードのジョーン・アーク (Jaune Arc)です(ジョンではなくジョーンのようです)。彼はワイスにメロメロながらもチームを組むことは叶わず代わりに超実力者のピュラ・ニコス (Pyrrha Nikos)、そして既にペア状態だったノーラ・ヴァルキリー (Nora Valkyrie)とライ・レン (Lie Ren)を含めチームJNPRを組むことになり、RWBYらの面々と同様物語に大きく関わっていくことになるのは前述した通り。(そういえば、ライ・レンは「レン」と呼ばれていますが、それは彼が中国系のキャラで姓名の順番が他のキャラ達とは違うからと思われます。本作は日本系キャラと思われるヤツハシ・ダイチ (Yatsuhashi Daichi)も存在しますが、彼も表記上は姓が上になっています。)
また1期ではペニー・ポレンディーナ (Penny Polendina)や冒頭早々に登場しながらも顔が隠れていたシンダー(Cinder)御一行も登場、これらのキャラもまたメインストーリーに深く関わっていくことになります。(ちなみに1期ではシンダーの名前は出ていないと思ったのですが、スタッフロールには一応Cinderの表記があったのでここでネタバレしておきましたw)
そうそう、ここでいくつか基礎知識のおさらいを。一応作中でも少し説明がありますがよくわからない概念として特に「オーラ(Aura)」「センブランス(Semblance)」「ダスト(Dust)」があげられると思いますので以下簡単に説明します。
「オーラ」はwikipediaには「魂の顕現」とありますが、いわばスキルポイントのようなものです。ルビーらのような全く華奢な少女たちが超人的なフィジカルを発揮できるのはこれのお陰です。
「センブランス」は固有スキルのようなものでキャラごとに特徴的な技を持っています。これは「オーラ」を消費することにより発動することが可能ということになります。
「ダスト」はエネルギー源で、オーラによって発動すると説明にはあります。それによって武器や防具のように使う事が出来るのですが、一方で機械の燃料のようにも使われます。(そこに「オーラ」つまり生物の魂が介在しなくて良いのかはちょっとわかりません。)シュニーが金持ちなのは、この「ダスト」を扱う会社の元締めの娘だからです。
ちなみにスキルポイントであってMP(マジックパワー)としないのはこの世界では「魔法」という存在が別にあるからです。
最後に一応個人的感想を箇条書きで
・この頃はまだワイスって普通に性格の悪い高飛車お嬢様キャラだったのな。というかジョーンが最初ワイス狙いだったことなんてすっかり忘れてたよ……
・「二つの魂を持つ男の話」の本が既にこの場所で!
・二段ベッドがエキサイティングすぎる……下にいる奴常に死と隣り合わせ
・というかこの時点ではブレイクのキャラがブレブレ。最初あんなにとっつきにくい奴として描写してたのに二段ベッドの時にはノリノリとか
・ジョーンがナードってどういうことだよ。確かにカーディンにいじめられてはいたがイケメンだぞ!?イケメンがナードだなんて最早修辞矛盾だろ!
・そんなジョーンが「この金髪、自前」と自慢してたシーンがあったけどやっぱり向こうでも金髪は基本染め上げてるものだからだろうか
・ピュラがジョーンにこだわってる理由、実は単にイケメンだから説
・そもそもの話だけどルビーが元のアカデミーで落ちこぼれみたいな設定って必要だったのかどうか。友達が出来るかと悩んでいた辺りは実際のティーン少女の胸中に合わせたつもりなんだろうけど
・ヤンちゃんが完璧すぎてつらい。もうこの子が主人公でいいだろ、ブチ切れるとスーパーサイヤ人かするし
・ブレイクのセンブランスがイマイチよくわからない、但し一番映えてる。
・ワイスのアピールポイント、実は膝小僧説
ではまた二期のレビューにて