かがみ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ささやかな救済としての「終わり」の「続き」
「終わり」の「続き」となる本作で阿良ヶ木は「鏡の国」に迷い込む。そこはいわば裏が表になった世界であり、いわば切り捨てられた「向こう側」を「こちら側」に引き戻した世界であった。そして、この世界では本作では多くのキャラクターの「裏側」が現れる。お馴染みの「裏側」もあれば、初めて見る「裏側」もある。ここでとりわけ注目すべきは終物語で地獄から火を取りにきたような存在感を放った老倉育の「裏側」である。彼女が垣間見せた「裏側」はかつてあまりにも眩しくて目を背けた「選ばなかった未来」の姿であった。いわば彼女は「向こう側」を引き戻すことで、ほんの少しだけ「選ばなかった未来」を生きる事ができた。こうした意味で本作は語り残した老倉育のささやかな救済の物語であったようにも思えるのである。