二足歩行したくない さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
雷神の少し響みてさし曇り
新海誠監督の劇場版アニメ作品5作目。
ファンタジーやSF色はなく、前前作の『秒速5センチメートル』同様、"ありえる話"です。
尺も劇場版というには短い46分ほどで、元はDVD販売のみにする予定だったようですが、最終的に劇場公開となりました。
都内在住の靴職人を目指す高校生「タカオ」が主人公です。
彼は雨の日の午前中は学校をサボって、開放された庭園の屋根付きのベンチでデザインを考えていました。
その雨の日もベンチに向かっていたのですが、そこにはチョコレートをつまみにビールを飲む仕事をサボり中の様子の女性「ユキノ」がいます。
その日から二人の交流が始まり、雨の日の午前中、示し合わせたわけではないですがその庭園のベンチで出会い、二人の時を共有します。
序盤は二人の甘酸っぱい関係を描くのですが、梅雨が明けて会わない日が続いた時、タカオはユキノについて知る展開です。
前作の『星を追う子ども』があまりにもジブリで賛否が出てしまったためか、本作は方向を元に戻した感じがしました。
愛情までいかない男女の関係が描かれていて、会えない訳では無いけど会えなかったり、淡い思いを抱きつつもそれに気づかないふりをしたり、新海誠氏らしい切ない感じがある作品です。
ただ、本作も、端的に言えば大人の女性と高校生男子がイチャイチャする話のため賛否があり、嫌悪感を覚える方は要注意だと思います。
作品のほとんどのシーンが雨の場面です。
雨に閉ざされた屋根付きのベンチで二人きりで、話をし続けるでもなく、ただ時間を共有するだけの関係というのがとても良かった。
46分という短い時間ですが、内容は濃くて無駄がなく、『秒速5センチメートル』と違いラストもスッキリしています。
個人的に『天気の子』までの新海誠作品では一番好きな作品です。