tao_hiro さんの感想・評価
3.8
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「東日本大震災を正面から取り上げた意欲作」?????
公開前のこれでもか!と言わんばかりの宣伝戦略、「新海誠の集大成にして最高傑作」という謳い文句、「そんなに観てほしいのなら見てやろう」と、やや斜に構えた姿勢で劇場に足を運びました。
そもそも私は新海監督作品を、スッキリ面白いと感じたことはこれまでありませんでした。
例えば数あるツッコみどころのうち、代表的なシーンをあげると、「言の葉の庭」における {netabare}採寸のシーン{/netabare}です。
{netabare}初めて女性の体に触れる少年、それに身をゆだねる年上の女性、緑濃い公園の雨の東屋での耽美的な名シーンです。しかし私は「雨で蒸れた素足を年下とは言えども男性に差し出す女性はいない」と感じました。{/netabare}
このように私は新海監督と感性が少しずれているところがあります。それでも「すずめの戸締まり」には、一片の期待がありました。恐らくメジャー3作目は、作家性を殺してエンターテイメント性に注力するのではないかと。
期待は裏切られませんでした。見事なエンタメ作品に仕上がってました。随所で興奮し随所で感動させてくれました。名作と言ってよいでしょう。
特に心を打ったのは「神代の時代からこの地は天変地異に見舞われてきた。それはこれからも変わらない。それでも私たちはここで生きていく」という、神聖でかつ力強いメッセージを感じた事でした。
ところが・・・
鑑賞の興奮冷めやらぬ、その3日後に、NHKのクローズアップ現代という番組で、この作品が特集されました。この番組ではこの作品を「東日本大震災を正面から取り上げた意欲作」として紹介していました。
「なんと表面的な捉え方なんだろう」と馬鹿にしてテレビを見てたのですが、驚いたことに新海監督がそれを肯定したのです???
監督自身が「そうだ」と言うのですから、それで間違いは無いのでしょうが、私は茫然としました。騙された気分になりました。「監督が自分の作品を矮小化してどうするんだ!」と強く思いました。
やはり私と新海監督の感性は違いすぎる、のでしょうね(笑)