てとてと さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
シブリ寄りの新海映画。良い内容だけどキャラが弱い
新海誠監督の第5作目。2時間弱の劇場版。死んだ男の子甦らすためにヒロインが地下世界を冒険する。
※作品データベース様より転載
【良い点】
初期ジブリの冒険物を彷彿とする路線を、新海流でやってみた感じ。例え劣化だろうとこういうのは自分好み。
作画の美しさは流石の新海作品、滅びゆく地下世界アガルタの、生と死の境界みたいな幻想的雰囲気はかなり良かった。
オッサン・ミーツ・ガールな展開も珍しい。
テーマも、生と死の在り方などの死生観を中心に適度に哲学的な内容あり。高尚過ぎる事無く、分かり易い。
総じて、なんだかんだでアニメーションとしてのクオリティーは高く、2時間弱飽きさせないだけの内容は確保していた。
声優陣は金元寿子氏はじめ本職で固めていて安定感あり。
キャラは敵役にして同行者な先生の方が、ヒロインのアスナちゃんよりは共感できる。
【悪い点】
アスナ含めて全般的にキャラクターが弱い。
出会って早々死んだ男の子(視聴者目線ではモブに近い)と大した交流も無く、彼の為に冒険するモチベーションに説得力が希薄。
アスナは終始感情が希薄で、主体性に乏しく、地味以前に主人公の要件すら満たしていたか怪しい。共感し辛い。
ラピュタめいたボーイミーツガール感は極めて希薄、かといって先生とも大した交流が出来ていなかった。
異世界冒険も淡々としていて盛り上がりに欠けた。
アガルタは美しいんだけど、既存のファンタジーを超える驚きや外連味は感じず。
心閉ざしたオッサンと淡白な少女が黙々と既視感ある異世界旅する、地味な展開。
テーマは良いんだけど、意地悪く見るとありがちの域を出ず。
先生はともかく、アスナちゃんがテーマ背負うには地味過ぎてあまり感情揺さぶられなかった。
【総合評価】4点
ジブリ(モドキ)借りてテーマ(死生観?)を描きたかったけれど、キャラと世界観を疎かにして(苦手だった?)失敗した印象。
良い点よりも問題点が目立つものの、凡作ではあっても駄作とまでは言えない。
なんだかんだでこういう冒険ファンタジーは自分好み、新海作品では中の下くらいに好み。
評価はかなり贔屓目だけどギリ「普通」
本作の失敗を見るに、ジブリ的な「こういうのでいいんだよこういうので!」の本質は
ボーイミーツガールのトキメキ感や冒険のワクワク感にこそありと分かる。
後発の「君の名は」と「天気の子」は多分本作の失敗を踏まえて改善したのかも?