てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
悲壮感と可愛さ明るさのバランスが良い美少女戦闘機もの
レシプロ戦闘機版のストパンでマブラヴぽい悲壮感と、努めて明るさ可愛さもある感じの、美少女戦闘機アニメ。
Re:ゼロ作者の脚本によるオリジナルアニメ。
※作品データベース様より転載
【良い点】
近代的ジェット戦闘機に交じってレシプロ戦闘機(第二次大戦までのプロペラ機)を駆る少女たち、という絵面の外連味。
その為の北欧神話や加護を受けし少女「ワルキューレ」、「英霊機」という設定の妙。
美少女をレシプロ戦闘機で怪物と戦わせたい、僚機に男たちの近代戦闘機も…という描きたい世界観を分かり易く出せている。
バトルは戦闘機版のストライクウィッチーズ、人類存亡の切迫感はマブラヴを彷彿としつつ、主要キャラたちの前向きな明るさも魅力。
「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」のサンダース軍曹めいたトラウマ(自分が所属する仲間たちは皆死ぬ自分だけ生き残る)な
重い背景故に心を閉ざすメイン主人公クラウが、底抜けに明るいムードメーカーだが芯からの強さ持つ宮古や、他仲間たちとの交流
を経て心境が変化していくキャラドラマも非常に良い。
特に宮古ちゃんは非常に強いヒロイン、単に可愛さだけではない確かな魅力があった。
ここでワルキューレの設定も上手い、宮古ちゃん文字通りの天使であった。
他ふたり、天才故に悲観しがちなアズズ、まだ幼く姉との関係と死別で心折れかけたソノも、それぞれのドラマの掘り下げが丁寧だった。
館山基地の家族めいた連帯感も良い、昼行燈な司令官、千葉繁ボイスのベテラン整備士は勿論、モブの民間人も含めて
皆で前向きに生き抜こう!な気風が良かった。民間人との交流でソノが立ち直るエピソードなど、随所に感動ポイントあり。
シールド隊の三バカ含めて男たちの生き様も良し。
4話のおふざけ回もあるが、これは生きるか死ぬかの瀬戸際だからこそ全力で笑おう的な決意の表れである(と思う)。
全力でふざけて、全力で少女たちを守る。
本作においてのおふざけとシリアスは決して矛盾していない、むしろ調和していたと見る。
描写すら省かれた結末も、それまでの積み重ねで笑って逝ったであろう事が補完できる、奥ゆかしい表現ではあった。
また人類指導者たちの人類をナメるな!的な底力も燃えた。存亡の危機にある人類の総力戦な感が力強く表現されていた。
全体のストーリーも、オーディンの思惑や謎が徐々に開示される形で飽きさせず。
作画はかなり良い。2020秋でも上位に入る。
アクションもさることながら、キャラデザがかなり可愛い。
【悪い点】
戦闘シーンが目新しさに欠ける。
宮古ちゃんの必殺武器くらいで、他は地味になりがち。
現実的なジェット戦闘機も共闘する路線が、非現実的なバトルの限界を狭めた感も。
ラストバトルも微妙というわけではないが、思いのほか盛り上がりに欠けた。
オーディンの思惑や北欧神話の謎関連が説明不足気味。
小物な彼が本格的に牙を剥く後半からラストまで、思いのほか盛り上がらず。
作品全体としてみると、竜頭蛇尾な感が否めず。
死別が多い重い展開で、尺不足か掘り下げが不十分。
ソノと姉の交流は十分あるように思えて、思いのほかアッサリ流された感。
シールド隊の最期など、文脈から十分な感慨は抱けるとはいえ、あざとい感動はしにくい。
死別が身近にある状況下で笑って前向きに、な雰囲気は素晴らしいんだけど、
作品全般としては感動が分かりづらい弊害があった気がする。
宮古ちゃん魅力的なんだけど、強いヒロイン過ぎて、彼女自身の掘り下げは意外と少な目。
【総合評価】6~7点
可愛さと悲壮感と前向きさのバランスが取れた力作ではあったけれど、やや惜しい。
2クール欲しかったところ。
評価はとても良い付けたいがやや惜しい「良い」