「さくら荘のペットな彼女(TVアニメ動画)」

総合得点
88.5
感想・評価
5369
棚に入れた
26133
ランキング
109
★★★★☆ 4.0 (5369)
物語
4.0
作画
4.0
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.1

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ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

面白いですが、才能と恋愛の部分の作り込みがちょっと甘いかなあ。

「青春ブタ野郎」の鴨志田一氏原作です。氏の作品らしく色んな作品の面影が見えます。大雑把には「とらドラ」「ハチミツとクローバー」を組み合わせた感じでしょうか。才能がある人物への劣等感の話は映画「アマデウス」のモーツァルトとサリエリがあり、映画好きあるいはサブカル界隈の人間ではほぼ基礎教養ですので、オリジナリティ云々をいってもしょうがないでしょう。

 ほぼ同時期に「僕らはみんな河合荘」があり共通する雰囲気がありました。さくら荘は、親を排除して若い者だけで生活するワンダーランドとしての下宿という舞台設定ですね。

「青ブタ」ではかなり色んな作品の要素を組み合わせて上手に料理をした結果、非常に優れた作品を作り上げた鴨志田一氏ですが、本作の料理法においてはちょっと素材の下ごしらえが甘い上に、組み合わせも上手くいってない感じがしました。つまりテーマ性はあまり上手に扱えていない感じです。
 テーマに関しては、ましろ美咲は単なる設定に見えました。七海についてはその点では上手く描けていました。主人公は高校生であそこまで行ければ別に挫折ではない気がするのですがどうでしょうか?

 しかしそれでも、天才への劣等感と凡才の努力、恋愛、共同生活などを組み合わせた結果、面白さではかなりの水準の話には仕上がっていると思います。
 
 料理になぞらえたのは例のサムゲタンがあるからですけど、私は正直どうでも良かったです。陰謀論もあるみたいですが、6話は監督演出と脚本が両方女性でしたので、韓流大好き女子がちょっとふざけちゃいましたというレベルでしょう。ただ、そういうノイズもありましたが、10年たっても覚えてられるのですから、結果的に炎上がいい風に作用したのかもしれません。
 オタク界隈では、サムゲタンといえば本作というくらいになっています。伝説のキャベツ作画ほどではないですけど。


 本作は不自然というか唐突というか、もうちょっと上手くやれないかなと思う点が幾つかありました。

{netabare} 主人公がましろを好きになるプロセスが丁寧じゃなかったかなあ、というところ。ましろの才能に対する劣等感と恋愛がうまく絡んでないです。それはましろの内面描写が弱い点なども含めてです。
 多分途中で終わってそうなので、今後どうなるかわかりませんが、ましろの天才性異常性表現がある以上、主人公ましろエンドは不自然な気がします。あるとすれば、ハチクロと同じ献身になるしかないと思います。

 三鷹の美咲に対する感情がちょっと不自然だったかなあ。抱く抱かないの問題はさておいて、ここの距離感はお話としては分からなくはないですけど。それと姉妹丼ですか?風香に手を出すのは…うーん、もっとドロドロした話ならいいですけど、結末があまりにみんな物分かりが良すぎるでしょう。

 ましろの美術の才能について、マンガを描いている時間がもったいないというのが、主要な設定でしたが、芸術ですからね。モチベーションの問題があります。時間があってキャンパスに向かわせるから、すごい作品ができるなどと、芸術に理解がある人だったら思わないでしょう。そこが不自然だったのと、マンガ表現が結果として芸術に活きるのかどうかは気になりました。{/netabare}
 
 さくら荘そのもの、天才多すぎなどの設定から言って、マンガ的な荒唐無稽感は気になりませんが、恋愛と才能の主軸に対するキャラの動きがお話のためのお話だったかなあ、という気がします。要するに才能の残酷さには肉薄できていない気がします。とはいえ、マンガ的ラノベ的な青春ラブコメとしては悪くない出来です。

 多分2期は来ないでしょうから、原作を読んでみたいと思います。客観的にも主観的にもオール4で78点くらいの秀作にちょっと届かずという感じでした。

投稿 : 2022/12/15
閲覧 : 381
サンキュー:

9

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