鬼戦車 t89 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
知識チートものとしては、良心的でブレない佳作。男性が観て面白いかは保証しかねます。
最終話観ました。いや〜一本芯が通っています。最後まで殿下の寵愛一本でハッピーエンドまで持っていきました。結局、主人公は殿下に好かれる努力を、ほとんど自分からせずに最終話まで行ってしまいました。
序盤から殿下の愛ありきで辟易していましたが、ここまで行くといさぎよいです。
主人公が全く魔力や武力、実家の力や取巻き、使い魔にいたるまで有形力を持っていない知識チートものは珍しいです。某現実主義位でしょうか。
現実主義は、召喚された一知半解の口先だけの若造が国家を運営する物語で、主人公の後ろ盾の無さが非現実的でしたが、本作の主人公のエリーは違います。
殿下や王族から理由もなく愛されているため、自分のアイデアを実行する権力の後ろ盾があり、失敗してもケツ持ちをしてくれる保証まであります。
知識チートがあっても、知識を具体化して殖産興業政策まで持っていくには権力に取り入らないとだめなんだよ!と、いう確固たる作者の意思を感じます。
知識チートを活かすには、このぐらいやらないと説得力がありません。どうせ、すごいアイデアや知識など表現出来ないのですから、主人公がパワーで物語を動かしていく系の話でなければ、甘々ラブコメで展開していくのも最適解の一つと言えます。
今まで、都合の良いラブラブ展開で全ての困難を片付けてしまうことに色々不満がありましたが、最終話まで観て、軸のブレなさに、これもありかなと思っています。
女性主人公のラブコメの王道とは、すごいものです。武力が無い、知識チートのみの男性が主人公で、権力者に愛される話を作ろうとしたら、「異世界ラスプーチン、現代知識で王太子の病気を治したら皇帝に寵愛されて後宮で好き勝手に帝国を操れた件」とかになるんでしょうが、これでは悪漢の物語ですね。
女性主人公の王道ラブコメにアレルギーがあると、完走も難しい難易度の高い物語でした。
以下↓中盤位までの感想
中盤くらい観ての印象は、女なんて子供を作るための道具に過ぎない貴族社会でウジウジされてもなーでした。
主人公に殿下がベタ惚れなのですが、主人公は知識があるだけで腕力と権力は無いので、宮廷内のドロドロした思惑に当てられて、ウジウジします。
封建社会で王族に近い貴族が好きな相手と添い遂げるなんてそもそもありえません。封建社会下の上級貴族の役割は王族の血統を維持させることなので、政治権力を握って政治に辣腕を振るうチャンスがある上級女性貴族も歴史上いましたが、側室とかに関しては受け入れるしかありません。
日本の江戸幕府を見れば分かりますが、正室が産んだ子は2代目の秀忠だけで、後は全て側室の子が将軍になっています。秀忠も家康と春日局の子じゃね?と言われている位です。
側室なんていらねーくらいバカバカ跡継ぎ産んでやら~という覚悟が無い主人公は発想が現代人過ぎて、なんか浮いています。変にドロドロした宮廷の愛憎劇は、アニメ向きでは無いかもです。
11話視聴完了しました。後ラスト1話です。何だかんだで殿下の寵愛一本で乗り切っています。せっかくの知識チートも寵愛を失ったら終了という主人公の立場の弱さを補完してくれません。次期王妃としてここまで立場が弱い宮廷アニメはあまり無いかもしれません。ハラハラしながらも最終話が楽しみです。