STONE さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
とりあえず簡単な感想
原作は途中まで既読。
4期ということで、前期は対合従軍という外的問題が話の中心であったのに対して、本作は
中盤に魏との戦いはあったものの、前半の屯留での成蟜の名を騙った反乱、後半の毐国独立など、
内的問題が主といった印象。
前半の屯留での一件、中盤の著雍を巡る魏との戦いはいずれも主人公の信が活躍するも、
それぞれ成蟜と王賁の物語といった内容。
成蟜に関してはシリーズ最初の信と嬴政の敵でありつつ、他のラスボスキャラと較べても
小物感の強かったのが、かなり頼もしい存在になっただけにここでの退場はなんとも惜しい
ところ。
そして、後半では毐国の反乱と加冠の儀が絡みつつ、嬴政と呂不韋、更に趙姫も含めた、
これまでの争いや因縁に決着と付ける展開。
嬴政にとって呂不韋は最初から、いやそもそも嬴政誕生のきっかけとなった存在ゆえに、
観ている側としても、「ついに」という感が強い。
この中で嬴政と呂不韋がそれぞれ理想とする中華のあり方を語るシーンがあるが、呂不韋が
経済力による実効支配という形があるとはいえ平和的分国共存を望むのに対して、武力による
統一を目指す嬴政。他作品、例えばハイファンタジー系の歴史ものなんかだと、武力統一など
むしろ敵役が言い出しそうなところが面白い。
後に秦が統一は果たすも、秦自体はすぐに崩壊したことで、嬴政自体の理想は潰えたように
見えるが、一度中華統一という実績を作り上げたことは、後の多くの中国の国家が統一という
形をもって完成形としていることを考えても、嬴政の理想は今も生きていると言えそう。
逆に呂不韋の理想とする平和的分国状態が常態化していたら、後の中国はヨーロッパのように
なっていたかもしれず、この辺はなかなか興味深い。
呂不韋が「嬴政は自分の息子」と冗談で語るシーンがあるが、状況的に真実である可能性も
ありそう。
真偽はともかく、呂不韋という存在は嬴政の精神的父親みたいな側面があるため、本作は
嬴政の父親超え的要素があるように思える。
一方、趙姫の方は嫪毐との間に生まれた子供二人への愛情が深いほど、嬴政への愛情のなさが
浮き彫りになる悲しい流れ。
趙姫自身が被害者という意識が強すぎて、嬴政も被害者であるという認識を
持てなかったのかな。
趙姫からすると嬴政も加害者の一端であり、自分を不幸な境遇を象徴する存在に見えたのかも。
愛していない男との間の子というのもあったのかも。
逆に嬴政の方だが、これまでは嬴政の方も趙姫に対する愛情を見せるシーンはなかったが、
最後の趙姫の息子二人の密かな延命に嬴政への愛情が垣間見える。
こういった感情が育まれたのは紫夏の存在があり、自身にも子供ができたことも大きいのかも。
2022/12/11