nyaro さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
表面はさわやかな青春群像劇、本質は恋愛と才能の残酷物語。
ハチミツとクローバーという題名がすごいですね。作中の表現だとクローバーは四葉のクローバーのことで、幸せのメタファですね。見つけようとしても見つからない。ハチミツはみんな一緒にいた日々のことでしょうか。これが本作のテーマなんだと思います。
アニメがサブスクで見つからないので、記憶がコミックとごっちゃになっているかもしれませんが、ほぼ同じだと思いますので混同しても問題はないと思います。
2組の恋愛をめぐるもつれ、竹本・はぐ・森田・先生の組、真山・山田・原田・野宮の組でした。
さて、この中のどの組み合わせを見ても、幸せになる予感がしないというのが胆なのかもしれません。
本作は甘酸っぱいというには、あまりに他人の不幸に依存したような歪な関係に見えます。純粋な恋愛に見えるのは、はぐに対する竹本、真山に対する山田くらいでしょうか。そして、大筋結論がでるのがこの2組でした。
全体的にコメティだし、初めのうちはギャグか?と思うくらいの印象の明るくワチャワチャした感じでした。はぐも初めの内は、マスコット的にしか描かれていませんでした。この辺の導入には騙されます。キャハハうふふのお花畑少女マンガかと思ってしまいます。
話が進行すると、真山組はドロドロしていて目も当てられません。特に原田真山の関係が、旦那を失った弱さ儚さに惚れるという感じですし、支えたいという欲求では健全な恋愛は育めません。ここは本当に気持ち悪い恋愛でした。
竹本はぐ森田のところは、コミカルだし、竹本が爽やかに潔く描かれているのが救いでした。見ていて竹本の愛情が一番シンプルで気持ちがわかるし、乗れました。竹本が優しいだけというのも、彼の惨めさを際立たせていました。
さらに、森田と竹本の対比は才能と言う面で残酷でしたね。竹本の出自との比較においてもですけど。
恋愛を中心とした青春群像劇というには、あまりにきつい話な気がします。特に竹本か山田に感情移入するような構造なので、なんでマンガ・アニメでこんなに辛い目に合わないといけないんだ?と思うくらいでした。
だからこそ、心に残る物語なんでしょうけど、決して好きにはなれる話ではありません。