Tokusa さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
守りに入っちゃったな
新海誠さんの作品を20年近く前から知っている身としては、映画館で若いカップルや子供、中年の夫婦までが鑑賞していたことに正直感慨深いものがありました。
映像面では1作ごとに進化しています。草一本一本に種類があり、形が違いそれぞれ別に動いている。技術的なことはよく分かりませんが、CGと2Dを使って背景や草木の描写がより丁寧に違和感なく作られています。
話的な部分では、個人的に正直あまり見るべきところが無かった。新海誠さんはポスト宮崎駿の地位と1作ごとの興行収入を期待されているのでしょうが、今作の感想は「随分と無難で、守りにはいっちゃったな」というのが本音です。宮崎駿は1作ごとに全く違うジャンルにチャレンジし、絶えず攻めていました。売れるためには監督、スタッフ、スポンサー等関係者が守りに入りたくはなるのでしょうが、作家としては守りに入るといずれ枯れていきます。前作、前々作共に登場人物の行動は反社会的です。正直売れるかどうか危ういと思いながら作っていたのではないでしょうか。
「君の名は」以前の新海誠作品は、他では得難い丁寧な描写もありながら出来の悪い部分もあり、一部のマニアが見てニヤニヤする程度の作品でした。一度大作の制作はやめて小品を作った方が良いように思います。ともあれ、今回で日本伝奇3部作は終了し、また違った世界に飛び出すかもしれません。新たな新海誠に期待したいですね。