蒼い✨️ さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
笑顔のアニメ。
【概要】
アニメーション制作:京都アニメーション
2010年4月7日 - 9月29日に放映された本編24話と番外編3話で全27話のTVアニメ。
原作は『まんがタイムきらら』と『まんがタイムきららキャラット』
にて連載されていた漫画作品。
著者は、かきふらい。
監督は、山田尚子。
【あらすじ】
楽器初心者の主人公・平沢唯が、高校入学2週間後に軽音部にギタリストとして入部。
桜が丘高校の軽音部は普段は熱心に練習をしていなくて、
放課後に紅茶とお菓子で楽しくゆるゆると過ごす毎日。
彼女たちの自作の作詞・作曲の楽曲はあまり格好は良くないけど、
ふわふわあったかくて笑顔にしてくれる歌が好評であったり、
本番に強いという、不思議な魅力の女子高生バンド。
その、唯・律・澪・紬の4人が進級して、後輩で新入生の中野梓が加わり、
唯たちの2年時の学園祭に顧問のさわ子先生が彼女らにバンド名「放課後ティータイム」と命名。
「このまま大人になっちゃう前になにかしなきゃ」と漠然とした想いを抱えて高校生になった唯。
「わたしにでもできること」「夢中になれること」を軽音部で見つけていて、
学園祭の体育館のステージの上で彼女たちは確かに輝いていた。
唯が風邪を引いた2年時の学園祭の公演が(原作では失敗だったがアニメでは)好評に終わり、
そして冬を挟んで、新しい年度がやってくる。
唯たち4人が3年生になって桜が丘高校軽音部での最後の1年。
それは、後輩の梓が唯たちと一緒の軽音部でいられる残された時間でもあった。
【感想】
人間が流す涙には二種類あって右目からはしょっぱい嬉し涙、左目からは水っぽい悲し涙。
アニメに対して『泣いた』『泣ける』を連呼する方がいますが、アニメで泣いているときに、
目じりに指を当ててみたり涙を舐めてみたりしますと、
自分は何故このアニメを観て泣いているのだろう?
涙の性質についての気づきがあるのかもしれません。
京アニの作品作りのテーマである「感動」とは、
「作画力に裏付けされた人間の存在感」「キャラの感情の交わりで起きる反応」
「日々の暮らしの喜び」が丁寧に表現されていて、
それが視聴者の心に届くことで、その反響が作品人気の源泉になっています。
このアニメでは、第6話 「梅雨!」で雨天の日に唯が弾き語りしながら妹の憂と、
童謡の『あめふり』(作詞:北原白秋、作曲:中山晋平)
を合唱した時に、私は思わず見惚れて顔がほころんでしまいました。
この「けいおん!!」にしても基本は女子高生の明るくおバカなじゃれ合い話でやっていますが、
この2期では、作中の1年間を2クールかけてじっくりとやることで、今経験していることが、
唯たちの心に、一生残る大好きな仲間との宝物のような大切な時間であることを印象付けて、
彼女らの笑顔が涙に変わることで卒業と共にそれも終わっていく寂しさを視聴者に共感させて、
余韻を強く残す内容になっていますね。(卒業生、在校生ともに続きの物語が原作ではありますが)
所謂、「お涙頂戴」と趣を別にしているのに、何故「けいおん!!」が心に残ったかというと、
歌う時に猫背になる律、お嬢様育ち故に「普通」への憧れが強く友達の真似をしたい紬、
合唱する時にひとりだけ音程がずれる唯(ボーカルなのに大丈夫?)
キャラを感情豊かに表現している一つ一つの作画と声の芝居の丁寧さは1期からもあったのですが、
それに加えてバーチャルリアリティーにも似た作品世界への没入感でしょうか。
実写を意識して疑似再現した被写界深度のある映像であったり、
作品世界にビデオカメラを持ち込んで撮影していると錯覚してしまうようなレイアウトを度々用いる。
技術的な部分だけでなくて、例えば3年2組には38人の生徒がいて、
軽音部の4人+真鍋和以外の33名が原作には存在しないアニオリキャラであります。
その33名は脇役に徹しているものの、全員に名前と設定があり、
「けいおん!」は軽音部の話でありますが、クラスメイトが単なるガヤではなくて、
感情を持った個の存在として扱われているシーンが度々存在していまして、
それが、カメラの外でも彼女らが存在しているかのような教室の臨場感になっています。
ちにみに私はクラスメイトでは、佐伯三花、立花姫子、宮本アキヨ、若王子いちごが特に好きですね。
自分が唯たちのいる3年2組の空気と一体化したかのように錯覚する楽しさ。
それは、高校最後の学園祭を描いた第18話~第20話で最高潮になります。
プロフェッショナルとしての仕事のレベルと作品への情愛を両立しての原作からの膨らませ方が凄い!
気のせいかもしれませんが、作り込みがしっかりしているからこそ、そう思えるのです。
その細かい仕事は、「響け!ユーフォニアム」の、
北宇治高校吹奏楽部でも用いられていると言えるでしょうね。
2期の全部で27本のエピソードの打率が10割というわけではないですが、
卒業までの心の流れをきちんと描ききったシリーズ構成と演出の良さで、笑顔をたくさんくれた、
どこまでも楽しく愛しさを感じさせてくれて、その世界にいつまでも浸っていたい作品を作ってくれた、
声優、京アニのスタッフ、山田監督ら、その他作品に関わったすべての人達に、
このアニメの歌詞のとおりに『大好きをありがとう』と言いたい、そんな2期ではありましたね。
日常アニメの最高峰と言っても過言ではない文句なしの名作中の名作認定でした!!
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。