ato00 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
激しく切ない心の旅<追記;地上波TV視聴>
はっきり断言します。
「すずめの戸締まり」は新海監督の現時点での最高傑作です。
美しい映像、迫力ある動きと音響、強いメッセージ性。
どれをとっても心が動かされました。
ストーリーとしては単純明快。
ただし、若干の謎や矛盾点はあります。
緻密な設定で物語を形作る新海監督のこと。
何回か観直したらわかるかもしれません。
{netabare}宮崎から始まり、愛媛、神戸、東京、そして最後は三陸と地震を追う旅です。
それぞれの地区にはそれぞれの地震があります。
日向灘地震、中央構造線地震、六甲断層系地震、相模トラフ地震+東京直下地震。
そして三陸は日本海溝連動型超巨大地震。
古来より日本では、これら地震が繰り返し起こって来ました。
日本人は、この地振るう現象を畏怖し悲嘆にくれました。
それを納得するため、これを地下のナマズの身震いのせいとしてきました。
ナマズの動きを止めるために各地に巨石を置いた日本人のなんと健気なこと。
極めて短い人の一生は、悠久の時流れの中では無力です。
しかし、何とでも生きようとする人の生命力は強いもの。
何度も何度も打ちのめされても、不死鳥の如く蘇ってきたのです。
それこれが人間、とこの作品は言ってるのではないかと思います。
最後に扉の向こうで見た常世の美しい風景。
その中ですずめの見たもの、感じたこと。
それは人の儚くも強い想い。
いわばそれが真の絆かもしれません。{/netabare}
<追記;地上波TV視聴>
{netabare}映画公開から1年半。
やはり、地震はどこかで起きています。
地球が生きている限り、それは未来永劫続くでしょう。
新海監督は人の道を肯定的に描くことに長けている。
例え悲劇が起ころうとも、前を見て歩くこと。
そんなことを教えてくれているように思います。
常世の綺羅星の下で蠢く禍々しいミミズ。
まるで、宇宙の静と動を司る。
現世の実相を体現しているような眺めでした。
眼を見張るような美しさの中に真実は内包される。
新海監督の世界を覗くたびにいつも感じます。
次の作品が楽しみです。{/netabare}