てとてと さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
67分のSF閉鎖空間ホラーサスペンスOVA。前年の似た路線のルーツサーチ食心物体Xより格段に内容が良い
惑星探査で冷凍睡眠して宇宙船で目覚めた乗員たちが、謎のバクテリアに襲われるサスペンスホラー。
【良い点】
安っぽいB級ホラーだけではなく、SF設定や人物ドラマの質が高く見応えのある内容。
直接的なグロさよりも、ジワジワと追い詰められる未知の恐怖感煽ってくる。
宇宙探査SFとしても、細かい描写が凝っている。
惑星探査の為に冷凍睡眠して地球と時間間隔がズレてしまう乗員の悲哀など、SFを重厚なドラマに活かせている。
序盤に乗員の中に犯罪者がいるかも?なサスペンスから、謎のバクテリアの恐怖、時代遅れの人間よりAI重んじる本社の思惑と猫の意外な正体など、サスペンスとしてもSFとしても飽きさせない。
キャラも全員ではないが主要キャラの性格や関係、背負ってきた人生ドラマが丁寧に描かれ、共感できる良キャラ多い。
各キャラ人間臭く、特に船長と刑事の信念貫く生き様はカッコ良かった。
各キャラ異常事態なのに妙に落ち着いた雰囲気なのも、実年齢が3桁越えだった事から説得力がある。
不快なキャラがおらず、落ちついたドラマを見せてくれる。
作画は良好、モンスターデザインが天野喜孝氏など一流スタッフ。
声優陣は主人公役がさほど上手くはないが、悪くない。
【悪い点】
良い点と裏腹、落ち着いた雰囲気だがホラーサスペンスとしては地味。
仲間が次々と犠牲になっても淡々と進行する、良い点でもあるが。
バクテリアも悍ましさは控え目、逃走や戦闘シーンが地味。
ヒロインがあまり機能していない。
楽曲面はイマイチか。
【総合評価】7~8点
一流スタッフが制作した、SFサスペンスホラーの秀作。(あにこれのイントロダクションの通り)
評価はやや迷うが「とても良い」
宇宙の閉鎖空間サスペンスで猫といえば2011年のサンライズ制作「ノラゲキ!」は本作の影響受けてそう?
地球から見捨てられた宇宙の閉鎖空間、オチの不穏さ(後日譚)など共通点あり。