てとてと さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
中二病異能バトルで悪を討つダークヒーロー路線。良い意味で底が浅い
少年マガジンのバトル漫画、全13話。
異能者たちが人知れず悪人を殺したり、異能者同士で抗争したり。
【良い点】
強大な異能で悪を人知れず始末するストイックな勧善懲悪ダークヒーロー、程良い中ニ病感が心地良い。
正義感強い潔癖ヒロインによる一般常識を嘲笑うかのように悪を討つ、主人公はあまり悩まず我が道を行く。
この手のダークヒーロー少年漫画(ジャンプのデスノートとか)が正義や悪についての葛藤になりがちなのに比べ、素直。
どうしようもない悪は話しても無駄、力でねじ伏せるのが一番的なスタンスが痛快。
基本はシリアスだが適度にコミカルなやり取りもあり見やすい。
正義感が空回りしがちで喋り方古風な桜ちゃんの存在もコミカルに貢献。
監視し合う関係がラブコメと勘違いされる学園コメディーが楽しかった。
縦軸ストーリーも着々と進行し分かり易く、1クールで纏まっている。
主人公が異能で悪人殺す→ヒロイン「やめるのだ!命を奪ってはいかんのだ!」
な展開多いが、普通なら主人公がヒロインの優しさに影響されそうなもの、本作は良くも悪くもヒロインが無力。
5話のマッドサイエンティストは邪悪だが、愛娘を救う為に悪行重ねていた。
マッドサイエンティストに兄弟殺された子供は復讐を願う…という救いがたく色々考えさせる重いエピソード。
主人公は己が悪だと自覚しながら悪を滅する。
主人公の同輩「ヒーローは正義のために悪い奴ぶっとばすからヒーロー」
正義と悪について程々に考えさせつつも、グダクダ悩まずに勧善懲悪する痛快さ、こういう作品はあまり無い。
各キャラの交流掘り下げは十分とは言えないが、軽妙な掛け合いや、各々のスタンスが明快など、1クールでキャラ多い割には各キャラ魅力と見せ場がある。
各々方向性は違うが中二病感あるキャラ付けも良い。
黒幕の総理が無能力者(原作では能力者の模様)なのに海千山千の曲者なサイコパスで魅力的な悪党だった。
主人公たちや、絶望して闇落ちした元先輩異能者よりも、総理が一番印象的。
…原作と違い、最終話逃げ切れず人見に討たれたのも溜飲が下がる良改変。
13話で終結させる以上、原作通り暗躍続けられたら溜飲下がらないので妥当。
異能バトル自体は可もなく不可もないが、各キャラに紐付けられたシンプルな異能で見せ場を作れている。
良くも悪くも単純で、あまり考えずに異能バトル楽しめる。
【悪い点】
各キャラの掘り下げや交流はあまり深くない。
主人公とヒロインは結局最後まで親密にならなかった。
トキと総理の親子の確執は見応えがあったが、他が物足りず。
主人公が最後まで地味だったり、人見が闇落ちは分かるが無差別テロに飛躍感じたり。
良い意味でもあるが、正義と悪をテーマにした作品としては底が浅い。
一般常識的な正義を代表するヒロインが機能しておらず。良い子だけど魅力は乏しかった。
5話みたいなエピソードもっと積み重ねれば深みが出たかもしれない。
異能バトルは悪くはないが、見所になる程でもない。
単調な異能のぶつけ合いであまり工夫がなかった。
【総合評価】6~5点
勧善懲悪ダークヒーロー路線を程良く1クールに収めた佳作。
底が浅いが、本作に限ればそれは良い意味。
評価は「良い」