てとてと さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
偽りの理想郷で自己や現実と向き合う群像劇、というコンセプトは良かったが、イマイチ面白くない
ゲーム原作の全12話。AI少女(初音ミクが自我持ってシンギュラリティ起こした感じ?)の善意により、各々の理想実現した仮想現実に閉じ込められた(SAOのアインクラッド編みたいな状況?ゼーガペインも彷彿)主人公たちが、自己と現実と向き合いながら、偽りの理想郷から現実への帰還を目指す、感じのジュブナイル群像劇。
何となくペルソナシリーズも彷彿とする?
【良い点】
コンセプトやテーマは秀逸だった。
主観と客観、自己と他者、自己実現そして幸せの在り方など、現代的な課題に向き合ったジュブナイルとして真摯ではあった。
哲学や精神医学?の衒学的な要素も良い意味で中二病的な雰囲気。
主人公と仲間たちが異能バトルしていくのはペルソナシリーズぽい感じ。
仮想現実メビウスの異常さは、不思議の国のアリスめいた悪夢メルヘンな感じ、この雰囲気も悪くない。
世界観設定(現実では性別も年齢もバラバラで、仮想世界では全員高校生)は、生死の違いはあるがAngel Beats!的な魅力もある。
異常な状況から真相が判明する序盤はゼーガペイン彷彿とする面白味あり。
主人公一味の個別の掘り下げドラマも一部のキャラは悪くない。
3話の醜悪なお茶会で現代社会の同調圧力や疎外感、過剰な痩せたい願望の危うさなど、テーマは分かり易い。
4話の文学少女の指輪物語のスメアゴルは幸せか否か?の解釈をめぐる会話劇は本作で一番良かった。
客観的に見ればスメアゴルは不幸だけど、ヒロインは彼は本懐遂げて幸せではないかと解釈。
作品のテーマ上良い着眼点でここだけは印象に残った。
終盤明かされる主人公とAI少女ミューのドラマも良かった。
最終話の主人公の総括も無難ではあるが納得できる。
作画クオリティーは高め。
楽曲も豊富。
【悪い点】
キャラが多過ぎて処理し切れていない。
個々の掘り下げは決して悪いわけではないが、どうにもキャラが弱い。
主人公含め他者と積極的に交流出来ていない為か横の繋がりが弱く、ペルソナシリーズのような良き仲間感が希薄。
会話劇含めてキャラの集まり自体にはあまり魅力感じない。
…ウィラード氏のレビュー「どうでもいい同級生の同窓会」という評が言い得て妙かなと。
これは各々の事情故に、自分に向き合う事に精一杯で、なりゆきで集まった同志と親交深める余裕が無かった為か?
皆余裕が無い為か、会話劇にユーモアやコミカルさが欠けている。
雰囲気が悪いわけではないが、良くも無い。
主人公とミューの関係は悪くなかったが、真相開示が遅い。
主人公自身が地味なキャラで、終盤に入って心情吐露されても今更感。
ミューもヒロインとしては大した見せ場が無い。
作風上仕方がないかもだけど、啓発セミナーめいた陰気さが鼻につく。
10話丸々主人公たちの自己総括セミナーに費やされ辟易。
群像劇の総括としてはアリかもだけど、キャラたちに魅力感じられないので「どうでもいい同級生の同窓会」感。
他にも敵勢力の現実に向き合わない姿勢を否定する流れも正しいかもしれないが、掘り下げが浅くてイマイチ。
最終話の結論は良いんだけど、そこに持っていくまでの群像劇がイマイチ。
全体ストーリーもゼーガペインめいた驚きが序盤で終了、以降は展開が単調かつ延々自己啓発なので飽きがち。
群像劇自体は悪くはないが、全体として盛り上がっていかなかった。
敵陣営が安っぽい中二病なのと、ミューの存在感の希薄さも影響。
バトルがイマイチなのも飽きやすい要因。
作画クオリティーが高い割には魅力を感じない。
ペルソナみたいに各々の個性象徴する異能みたいな工夫が無く、単調だった。
楽曲は豊富かつテーマにも沿っているかもしれないが、盛り上がりに繋がったかというと微妙。
【総合評価】3~2点
悪い作品ではない気もするけれど、いまいち面白くはなかった。
きちんと視聴すれば良さがあるけれど、きちんと視聴するのが疲れる。
ペルソナシリーズが良く出来ていると再確認。
評価は悪い寄りだけど捨て難いので「普通」