nyaro さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
日常系なのに死すら感じる寂しい雰囲気。癒されません。
音楽、セリフ、虫の声そして無音。すべてがゆったりとしています。間がたっぷりなのとあいまって、それが時間の流れを表していると思います。
ギャグそれ自体はたまにクスリと笑えるところがありますが、ニヤニヤ…というとちょっと違いますね。ちょっとだらしない無表情で楽しむような作品で、それは登場人物たちの表情とも一致します。
世界観は「だがしかし」「ひぐらしのなく頃に」という感じでしょうか。話の内容は「ひぐらし」とは対極ですけど、しかしそうとも言い切れない部分があります。
系譜でいえば「けいおん」よりも後の割には男子が微妙にまざっているのが面白いところです。先祖返りで「あずまんが」に近い感じです。登場人物は「苺ましまろ」くらいの感じですけど、毒っ気というかギャグのブラック度合いが全然違います。「ゆるキャン△」と雰囲気は似ていますが、ウンチクは無いです。
つまり、似たようなモノが多いと思われるこの日常系ですが、本作の立ち位置は実はスタンドアローン…孤立している気もします。
この世界が通じるのって、田舎であること、ネット(スマホ)がないからの気がします。小学生設定だからというより時代性でしょうね。この世界観はインターネットがあると本作の時間の流れが成立しないと思います。
で、本作は癒し系か、と言われるとこのゆったりした感じが、ノスタルジーというより、彼岸というかそれこそあの世との境界にいるような不思議な感覚になります。言い換えると、ノスタルジーの度合いが強いのでふと寂しくなります。特に最終回の雰囲気が残っているせいでしょうか。旅立ちと成長、そして夕方の農村の風景。そこに土管が置いてあるのがちょっと農村も変わってゆくことの象徴のようでした。
この最終回が妙に物悲しいので、あの世=死すら連想してしまいました。沖縄に行く飛行機が落ちたとしても物語が成立するのが恐ろしいところ。実際あの銀髪ツインテの小さな子の言動がそれの振りか?とも思ってしまいました。視聴後感は決して明るい方ばかりでない、不思議な日常系でした。
ここにテーマ性を見出すこともできます。成長、農村、そしていつかくる別れの日。ここを感じる感性があると、本作の視点は日常系から180度転換し非常に寂しい話に変化すると思います。
本サイトのキービジュアルを見ても、ちょっと寂しい絵柄だと思うのですが、どうでしょうか?
なので、あまり繰り返し見たくなる感じでもないんですけど、時々見たくなる感じでしょうか。ひょっとしたら心に余裕があるとみられるのかもしれません。
実は私、2期以降は見てないんですよね。これを機会に見るつもりですけど、この先どうなるんでしょうか?
作画は非常に丁寧です。特に背景美術はアニメ絵でみる田舎の風景としては、かなりの水準だと思います。
一応、水着回などもありますが、まあ性的なニュアンスはほぼゼロです。