まにわに さんの感想・評価
3.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 2.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
現代妄想の行方
{netabare}舞台設定に現実味がないから、どちらか死んでると推測はできた。カルデラ湖畔のド田舎と言う割には、人口密度が高い。ただ、死んでるとすると、せっかくの入れ替わりに発展性がないので、そうではないものとして見てた。
少しだけ引っかかったのが、糸守町を閉鎖的な環境・住民にした場面で、この時点では都会に憧れるためだったが、町が災害で消滅したとわかると、そうなっても困らないように設定した危惧が生じた。
これを払拭するには、このノリで故人を偲ぶいかがわしい話にするか、さらに過去に戻って全員が助かるご都合的な話にするか、と見ていると。
クレーターの肩で出会う場面、黄昏のひと言で片付けられたため、期待することなく見ていた、そのすぐ後のこと。
互いを忘れてしまうことで災害が人ごとになり、切迫感が減じたと感じたことで、別のテーマがあるのではと思うに至った。
つまり、大きな災害のニュースを目にしても、そこに生きてた人のことに思いを寄せることはしない。それをこのタイトルで表したのではないか。
結局生きてる結末。そんな描かれ方で?というような助かり方。災害のことを生々しく描かないこと。
誰かわかればその後の経緯を描かざるを得ないし、(被災者に対して、または被災者が)どういう態度であるべきかを描くリスクなしに終わらせていること。
私はこれを皮肉と捉えた。彗星がことさら幻想的だったり、現実的でない舞台設定とか、情報の端々(要するになんとなく)、とくに選曲からそのように感じるのだが、どうだろうか?
よかった点。
・時間と空間を越えるアニメ芝居はよくできていたのではないか。
・テッシー。ヤバいキャラをやるのがうまい。
悪かった点。
・歌処理は、歌わずにちゃんと作れ、と思う。「前…」は仕方ないとして。あれで関係が深まる様子を省けるのだから、当時宣伝でヘビロテしていた甲斐があるというもの。他は知らん。
・声優神木が透ける別作品の役。あっちはアバターで、こっちは入れ替わり。あっちは探査機で、こっちは彗星。本来は入れ替わりの順番が逆なのかも。
他の人の感想を見てて、ふと思ったのだが、黄昏時に出会った時に名前を書かなかったことについて、どうとでも解釈できるとわかったうえで。
{netabare}災害時に、博愛を気取った有名人が、「我々はあなたたちを愛しています」みたいなメッセージを発したりする、あれなのではないか。
もちろん災害のニュースに触れれば誰しも心が痛む、身内ならこの比ではない。でもこの場合は忘れてしまうのだから、人が悪い。
大衆迎合と評されたりするらしいが、実は逆で、これが大ヒットするのだから、渾身の皮肉になったと言っていいのではないか。{/netabare}{/netabare}