てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
結成して時が経過している不遇アイドルの成長サクセスストーリー。遅れてきた正統派の良作だが若干華に欠けるか
全12話。
鳴かず飛ばずなアイドルグループの女の子たちを、「嘘が輝きで分かる」異能持ちのマネージャーが導く。
【良い点】
売れないアイドル物として王道ド真ん中で、良い意味で泥臭くストイックな内容。
既に結成して時が経過し挫折しかけているアイドルたちが、各々の課題や葛藤を経て成長していく。
甘えた憧れの段階ではなく、挫折からスタートしての正統派の成長譚を1クールで丁寧に描き切った。
主要ヒロインを三人に絞り、各キャラのドラマを丁寧に掘り下げている。
特に一見自信家な理王様の挫折から吹っ切れていく成長はかなり良かった。一番可愛かった。
天才肌メインヒロイン・春の闇と、成長した仲間たちの葛藤ドラマからの真にアイドルグループとして完成する展開も申し分ない。
アイドルに真摯に向き合うが故にギスギスもあるが、各キャラの性格が良いためか、比較的ストレスは控え目。
掛け合いや日常の雰囲気は良好かつキャラ絞っている分、関係性が良いのもある。
ギスギスや落ち込みに無駄が無く必要な過程だとちゃんと分かり、各々着実に成長していくため、安心して見守れる。
主人公(といっても脇役に徹する)マネージャーの「他人の言動や態度の嘘が光って見える」異能の活かし方が上手い。
普通ならば「輝いている」は無条件にポジティブになりそうなもの、本作は不安や自信の無さ、偽りの笑顔を輝きと捉え、「輝かない」輝くアイドル像を見せてくれる。
メインヒロインの春だけが輝かない、一見快活な自信家な理王(りお)は輝いてばかり、だから春が本物で理王はアイドルの資格無し…?と思わせて、回が進むと春の抱える闇や、理王の葛藤や殻を破る成長を見せる。
偽りが無い事が真のアイドルとも限らない、アイドルとして輝くって何だろう?を真摯に描いたストーリーはかなり良かった。
主人公の立ち位置も絶妙、要所でしっかり導きつつ、あくまでアイドルたち自身に考えさせ成長促している。
主人公は地味だが欠かせない存在感あり、輝かないアイドルたちとの交流で彼もまた成長する。
キャラデザの可愛さ、ライブシーンなどの作画は申し分ない。
楽曲も各キャラのテーマに沿っていて良質なドラマを盛り上げていた。
【悪い点】
難癖気味で悪い点ではないはずだけど、王道そのものなアイドル成長系で地味。
不人気アイドルが地道なレッスンと活動する話が続き、途中経過でのカタルシスが無い。
ライバルチームの凄さが分りづらく、また当初の目標設定も有耶無耶など、徐々に盛り上げていく勢いは弱かった。
ストーリーが真面目で重くなりがち。
メイントリオの中では杏夏(きょうか)ちゃんが若干見劣りする。
ドラマ自体は十二分に丁寧なんだけど。
難癖気味だけど、スター性というか、華に欠ける印象。
うまく表現できないが、何となく…
【総合評価】7~6点
既に出尽くしている感のあるアイドルアニメとしては正統派の良作。
マネージャーの異能とは裏腹に、奇をてらわぬ誠実なアイドルアニメで完成度は高かった。
女子アイドルアニメが好きな視聴者ならば満足度が高いと思われる。
ただ、絶賛する程面白かったかと言われると、若干迷う。
評価はとても良い(8点以上)が妥当とは思うが、厳しめの「良い」