STONE さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
とりあえず簡単な感想
メインモチーフがオートマタ。
この手の人工の人っぽい存在を扱った作品の場合、感情や魂の有無や、そういったものが
生成されていく過程などがテーマだったりすることが多いけど、本作においてはその手のものは
普通に持ち合わせているみたいで、オートマタ同士、あるいは人とのやり取りは人間と
そう変わらないもの。
逆に焦点が当てられているのは戦争に使用されたオートマタたちのその後の役目とも
言うべきもの。
かっては兵器的存在だった彼女たちが歌を聞かせたりや黒猫亭の経営をしたりと平和的な
役目を担っており、本人達も幸せそうだからそれはそれで良いのだが、俯瞰的に見ると「如何に
人間に役立てるか?」という部分は変わっておらず、人間と変わらぬ接し方ができても、
「根本的には道具の域を出ないのかな」とも思ったり。
このオートマタだが、背中の追加燃料タンクを始め、随所に機械然とした部分が
感じられるのだが、人間のように飲み食いはするわ、入浴はするわで前述の感情だけでなく、
行動様式などもやけに人間っぽい。
その辺のSF的設定は割とふわふわした印象。まあ皆可愛いからいいけど。
黒猫亭のオートマタたちだが、それぞれに焦点を当てた回があり、いずれも良いエピソード。
ただほとんどが1話で発端から解決まで描こうとするため、感情移入するにはもう少し尺が
欲しかったところ。
舞台となるのは東邦皇国という架空国家だが、その文化風俗などは明治後期から昭和初期の
日本風。
そういった時代背景的雰囲気は最近増えてきた近代日本を舞台にした作品に通じる楽しさが
あるが、戦争直後ということもあって、他の近代日本作品のような華やかな雰囲気はあまり
感じられず。
こういった世界観の中ではオートマタはオーバーテクノロジーな存在で、そういった
ギャップ感の楽しさはスチームパンク系作品に通じるものがある。
クライマックスは灰神楽の暴走。
ここで灰桜の正体と言うか、出自が明らかになるが、それまでは桜花を作り替えた?ものかと
思っていただけに、桜花と遊んでいた人形のイナバから作られたとは結構驚き。
最終的には事件は収まるものの、灰桜が記憶を消すという悲しい終わり。
ロボットやAIなど、この手の人工による存在をメインモチーフとする作品はどこかに悲しさが
ある作品が多いから、ある程度は予想できたんだけど。
事件後に黒猫亭は再開できたようだが、こんな事件が起きてしまうと直接は関係ないにしても、
社会がオートマタそのものを危険視しないか?、と心配になってしまうのだが。
2022/10/30