てとてと さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
能力バトル少年漫画の傑作。若年層向けに分かり易い王道とユニークさが魅力
少年サンデーの能力バトル物で全51話。テレビ東京枠で「Get Ride! アムドライバー」の後番組。
「AをBに変える能力」与えられた中学生たちが、「金色のガッシュ!」みたいに勝ち抜きバトルする。
【良い点】
「ゴミを木に変える能力」をはじめ、異能バトルがユニークで飽きさせず。
一見弱そうな能力が創意工夫次第で活躍する面白味や意外性。
無能力者だったヒロインが強力な能力者に引き分けに持ち込む名勝負演じたり、最強格が無能力貫いたり。
丁寧に練られたユニークな設定の数々を巧みに活かしたバトルやストーリーで、能力バトル漫画の傑作。
かといって小難しい理屈優先ではなく、あくまで王道で素直なバトルで痛快さもある。
主人公植木が愚直に体張るタイプで、頭脳よりも根性優先。
修行やパワーアップイベントもテンポが良く、順調に良い意味でインフレしていく。
能力バトルとしてはイロモノな印象ある作品だけど、実は王道な魅力に溢れる。
テーマが素晴らしく、かつ分かり易い。
正義の在り方、誰かのために傷付く優しさ、仲間や友情の大切さ、本当の勇気などなど。
「才」設定が秀逸で、ストーリーを通して才能に対する努力の尊さを愚直に訴えている。
これらが非常に分かり易く素直に描かれ、主人公らと、敵役との対比で勧善懲悪が明快。
また「血統主義」に否定的なのも、珍しい良さ。ジャンプ系とか、血統主義に偏りがちなので。
作中最強格な李崩が天才格闘家である父の血を引いていないが努力のみで強くなる(才能至上主義の否定とも被るが)。
植木は実は天界人だから強かったのは血統かもしれないが、実の父よりも育ての両親との絆で、血の繋がりよりも大事な絆がある的な描かれ方。
ヒデヨシと孤児たちや、マリリンチーム、対する敵側の父子関係などを見るにそう感じる。
植木の実の父も44話でハートフルなフォローあり。
ストーリーも全51話無駄や中弛み無く綺麗に完走。
序盤の掴みから丁寧に練られた設定を分かり易く解説しながら、シリアスとコミカル絶妙なバランスでテンポ良く進行。
ヒロインのあいちゃんが解説やツッコミに回る事で分かり易くなっている。
全般的な雰囲気がコミカルで明るく見やすい。
金色のガッシュ!同様、低年齢向けに楽しませる少年漫画らしい見やすさ。
特に前半、ロベルト戦までは、毎話右肩上がりに面白くなっていく。
6話という序盤で大切な恩人コバセン退場の衝撃だったり、かなり早い段階で敵集団ロベルト十団戦開始したり、癖の強い強敵たちをテンポ良く倒したり、1話1話の密度が濃く飽きさせない。
ロベルト十団戦は能力バトル的にも一番面白かった。
キャラクターは愚直に正しさ貫く植木が理想的な少年漫画主人公。
ツッコミ役なあいちゃんも非常に可愛い。真っ直ぐに植木を支えた名ヒロイン、元気で楽しい子だった。
仲間たちも個性的で掛け合いも良い。
またチョイ役でも能力の性格上故か印象に残りやすい。
キャラデザは素朴だが申し分なく、あいちゃんは結構好み。
バトルの見せ場も申し分ない。
声優陣は朴璐美氏の少年主人公としてエドワード・エルリックにヒケを取らず。
楽曲面も特に前半OPがテーマに沿った良曲、毎話バトルの山場にOP流れる演出も燃える。
【悪い点】
能力バトルはユニークだけどやや地味な面も。
キャラもテーマもストーリーも良いが、強く感情揺さぶる程ではない気も。
この点は金色のガッシュ!に比べて地味な印象。
ロベルト戦がピークだった感も。
折角改心したロベルトが雑に退場、終盤再登場するも全く見せ場がなく残念。
後半の敵ボスのアノンの掘り下げがロベルトに比べイマイチ、ボス交代せずロベルトのままでよかったような。
後半は本格的にチーム戦始まるが、ヒデヨシ勧誘イベント以降は展開が単調。
テンポが良い裏腹、キャラが雑に退場していく。
マリリンチーム戦が後半一番の山場だけど、それ以降は折角の強豪たちを十分活かせなかった。
マーガレットが植木に協力する流れが唐突だったり、地獄人の問題が未解決だったり。
あいちゃんの限定条件判明が、散々引っ張っておきながら他人に教えられて判明も微妙。
【総合評価】9~8点
能力バトル漫画の傑作を51話過不足なく丁寧にアニメ化。
後半がやや惜しいのを差し引いても名作。
評価は「とても良い」