剣道部 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
夜は昼に還る
[文量→大盛り・内容→考察系]
【総括】
映像、音楽、世界観、キャラ、いずれもセンスを感じる作品でした。
なんとなく「シャフト系」。化物語を超ライトにした感じ。
サンデー原作ですし、基本は安全なラブコメとみても良いでしょう。ちょっとこれまでにない吸血鬼像で面白かったです。
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
夜はドキドキする。それは、人間が獣だった時の本能の名残なのだろうか。それとも、社会性を獲得した人間が、最後に残してある「非社会的な空間」だからなのだろうか。
作中、とても鋭い指摘がある。コウ君が夜を楽しめるのは、夜が非日常だから。そして、非日常は長くは続かず、やがて日常へと変わっていく。
「みんなと同じことはしたくない、というみんなと同じ言葉」
とは、芸人のだいたひかるさんのネタだが、本質を就いた名言である。それがなんであれ、「他人」を意識したとき、本人の主体性は失われる。
いやそもそも世の中のあらゆることは、比較の中でしか判断はできないわけで。
何を言いたいのかというと、コウくんが、「夜を好き」なのか、「昼じゃない時が好き」なのか。
(ちなみに不登校が夜型になるのは、学校に行けない「大義名分」があるかららしい。昼も夜もどうせ引きこもってゲームしてるんなら変わらないじゃんと思いがちだが、「学校に行かずにゲームしている自分」と向き合う昼のゲームは、心からは楽しめないんだよ。だから、学校に行きたくても物理的に行けない夜を好む)
これを発展させると、コウくんは「吸血鬼が好き」なのか、「人間じゃない存在」が好きなのか。
おそらくコウくんは、「共に後者」の理由で夜やナズナを好きになっている。しかし、それは本質的な愛情ではないため、吸血鬼にはなれない。
コウくんは、吸血鬼であることを差し引いたナズナを愛さなければならない。
だって、他の眷属達は皆、吸血鬼であることを知らずに、「個人」として、相手を愛しているのに、コウ君は逆に、「吸血鬼」という属性から入って、その後に「ナズナ」という「個人」に思いを寄せ始めているから。
「吸血鬼は吸血鬼のことをよく知らない」という斬新かつ面白い設定が出てきたが、コウ君が恋心を知らないという問題以外に、こういう条件的な違いが、コウ君の吸血鬼化を妨げている可能性もある。
だとすれば、これは所謂、無理ゲーになる。
じゃあ、どうすれば良いのか?
(全く読んでなく)原作連載中らしいが、ひょっとして、「吸血鬼が人を愛した状態で吸血すると人間になる」なんて素敵なラストもありえるのではないだろうか。
だとすれば、桔梗セリが、「友情」をもって人間を噛んだから、吸血鬼のままだった、なんてことが伏線として生きてくるのかもしれない。
夜は昼に依存している。
それはまるで、吸血鬼がいなくても人間は生きていけるが、人間がいなければ吸血鬼が生きていけない、つまり、吸血鬼が人間に依存していることが比喩的に伝えていることだ。
コウは、昼から、人間から、逃げた。しかし、永久に夜に存在することはできない。なぜなら、夜は昼の残滓であり、世界の主体は昼にあるのだから。
そして、吸血鬼になる可能性を失い、昼の世界に戻ってくる。
「今日は転校生が来ています。」
ガラガラ。
「七草 ナズナです。よろしくお願いします」
「ナズナちゃん!?」
と、そんな古典的なハッピーエンドが、私は好きだ。
、、、な~んてね(笑) 「よふかしのうた」に合わせて、「詩風」に書いてみましたが、慣れないとこはするもんじゃないですね。我ながら、変ですね(笑)
ほんとは、単純にラブコメとして面白かったですよ!こんな難しいことは後付けで考えただけで、さすが、「だがしかし」の作者だけあって、キャラ作りが上手いな~と思ってました♪
上の変な文章は、深夜のテンションで書いたので許して下さいね(笑)
{/netabare}