てとてと さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アダルトゲーム原作のダークファンタジーバトル路線。ラストは惜しいが結構良作
灼眼のシャナぽい異空間で異能バトルしながら、恋人のために頑張ったり、ヤンデレ路線になったり。
※作品デタベース様より転載
【良い点】
「灼眼のシャナ」ぽい異空間サバイバルバトルの中二病感が良い感じ。主人公の邪気眼や先輩ヒロインの陰陽剣術など、カッコイイ。
住んでいる街とそっくりだが閉ざされた異空間「赤い夜」の不気味さ、訳も分からず戦っていく中で、
少しずつ丁寧にキャラクター同士の関係性や世界観の謎を開示していく流れ、地味ではあるが引き込まれる。
謎の敵集団の黒騎士陣営の事情や掘り下げもちゃんと進行して、メインドラマに繋がってくるのも上手い。
キャラクターの性格やスタンスが明確、主人公はヒロイン絶対守る!な決意など、王道コテコテではあるが好ましい。
美鈴先輩とのHな儀式辺りもアダルトゲームらしくて良い感じ。
ダークファンタジーバトル路線のアダルトゲーム原作らしさを存分に味わえる内容はあった。
全体のストーリーとしては、ヤンデレ絡みのセカイ系といったところか?
主人公たちの存在がセカイの存亡に関わる、やや難解ながら、良く練られている。
愛する想いがセカイの命運決する流れに、敵陣営も含めて、ちゃんとなっていた。
キャラクターの描き方が丁寧。主要キャラ全員のバックボーンを丁寧に掘り下げ、作劇に活かせている。
例えば孤児だったタカヒサと、彼を拾い育てた元ヤンの先生との絆など、短い尺で十二分に描かれている。
日常と、いつ襲来するか分からない赤い夜が交互に訪れる日々で、少年少女たちの交流が良かった。
終始シリアスだが仲間たちとの掛け合いの雰囲気が良く、学園青春劇としても良質。
辛い過去背負いながらも健気に人懐こく振舞い、優しさを忘れない雪子ちゃんは本当に良い子だった。
雪子ちゃんがムードメーカーなお陰で重苦しさが大分救われていた。
タカヒサ先輩との仄かなラブコメは、主人公組よりも素直で、それだけに切ない。
ヒロインはメインのヤンデレ・ユカちゃんよりも、主人公の師として導く美鈴先輩の方が魅力的。
ヤンデレなユカの想いを知り自らは奥ゆかしく身を引きながらも実はカケルに惹かれる、切ない。
戦士としての凛とした気構えもカッコイイ、戦う素敵なヒロインだった。
異能バトル自体は可もなく不可も無いが、キャラの見せ方が上手いため気にならない。
主人公カケルは邪気眼持ちでヒロイン絶対守る!と一見ありがち主人公だが、一途な想いと強くなるための努力欠かさない。
中二病アニメでありながら、強くなる過程に説得力があった。
動画工房による作画は赤い夜の不気味さや、キャラデザの可愛さなど申し分ない。
露骨なパンチラなどのサービスもあり。
【悪い点】
ユカちゃんのヤンデレっぷりはやや評価に迷うところ。
ここまで狂うバックボーンの掘り下げが足りておらず、またカケルとは互いに独りよがりで向き合っていなかった感。
そのためか、戦闘の師弟として濃密に交流していた美鈴先輩にヒロイン力で見劣りしてしまう。
ヤンデレヒロインとして見ても、未来日記など他作品と比べてあまり見せ場が作れていない。
メインの二人が微妙で、その他カップルたちの方が感情移入出来た感じ。
しかし所詮サブなので描かれ方に余裕が無い。
黒騎士リーダーと草壁操や、リーゼロッテとヴェラートなどのドラマも最低限は伝わったものの、
ここをもっと丁寧に描写されたていたら一段評価上がっていた。
ラストの平行世界で惨劇を無かったことに?が腑に落ちない。
ハッピーエンドに見えて、そうでもないようなモヤモヤした結末。
「友のため明日のため」なキャッチフレーズもいまいち機能していなかった。
【総合評価】6点
嫌われがちなヤンデレヒロインと、ラストの腑に落ちなさは気になるものの、概ね面白い。
評価は迷うが、ラストの解釈で台無し、という程でも無い気がするので好意的に「良い」