てとてと さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
修道女の悪魔退治ガンアクション。アメリカぽい?陽気さと、裏腹の切ないストーリー
全24話。1920年代のニューヨークを舞台に、悪魔少年と契約したシスターが、仲間とともに銃で戦う。
【良い点】
1920年代(大恐慌前)のアメリカの雰囲気の下、破天荒な修道女が悪魔相手にガンアクションするコンセプトが良い。
カトリック系のオカルト(と言ったらダメかもだけど)なマグダラのマリアやファティマの予言、御使いや地上代行者などの要素を活かしたストーリーも見応えがある。
明るく活動的なヒロイン・ロゼットをはじめキャラクターも良く、各々悪魔や予言絡みのシリアスな事情抱えながら葛藤しつつも、運命に負けず絆を深めていくドラマも良し。
ビターな最終話含めてかなりシリアスなストーリーと、裏腹の明るく前向きなキャラの雰囲気の良さでバランスが良い。
最終話は悲劇的かつ決着ついていないが不穏な余韻ありこれはこれで良い。
時代は大恐慌前夜、世界大戦の足音が忍び寄る先の歴史を知る視聴者に、良い意味でしこりを残す。
キャラクターが魅力的かつ主要キャラ間の交流で絆が丁寧。
掛け合いがコミカルで次第に気の置けない良き仲間な雰囲気が形成される。
18話の日常回はキャラ交流の集大成的な良回。
それ故に終盤の悲劇性も高い。
ロゼットは破天荒さや図太さ含めて喜怒哀楽が可愛く、悪魔少年クロノとの契約で命削られている、弟ヨシュアが悪魔の手に陥ちている等の辛すぎる悲劇のヒロインでありつつ、それを感感じさせぬ強さと気高さが光る名ヒロイン。
気弱で振り回されるクロノとの掛け合いがコミカルでありつつ、契約絡みの強い絆が丁寧に描かれ、ラスト泣かせる。
死にたくない胸の内吐露するシーンは胸が痛い名場面。
星方天使エンジェルリンクスのラストを彷彿とするが、クロノクルセイドのラストも切ない余韻ある。
12歳のアズマリアちゃんもマジ天使。千葉紗子ヒロインで最萌。
ファティマの予言の御(み)使いとして利用される不幸な生い立ち故に自信が無かった薄幸ヒロインが、自分以上に重い宿命背負いつつも明るく前向きに生きるロゼットとの交流で成長していく。
12話かなりハートフルな良回から、14話以降少しずつ遠慮が消えて可愛げが増してくる。
基本奥ゆかしい系ながら、ナチュラルに毒舌吐いたり、魔女サテラとの掛け合いなど、可愛い妹分だった。
作画はキャラデザが好み、金髪シスターロゼットも白髪ロリのアズマリアも大変可愛い。
ロゼットの喜怒哀楽の顔芸も良い。この時代のキャラデザは最近のアニメには無い魅力感じる。
悪魔とのガンアクションも見せ場は最近のアニメにヒケを取らない。
主題歌もOPEDどちらも良い。アズマリア(千葉紗子氏)歌うEDが特に良曲。
【悪い点】
悪魔側の陰謀やキャラの掘り下げがイマイチ。
アイオーンとクロノの関係とか、何がやりたいのかは見ていれば分かるが、かなり後半にならないと分からない。
前半は説明不足気味でロゼットたち翻弄されがちな割に話がスローテンポ。
そこから日常回含めて主要キャラの交流掘り下げが丁寧なのは良いが、本筋はあまり進展せず、前半の本筋ストーリーは微妙。
中盤も第三勢力の悪魔との共闘自体は面白いが、過程が唐突。
モブシスターと悪魔の交流は良かったけれどそれだけでは足りず。
ロゼットとヨシュアの姉弟の絆も重く描かれている割に今一つ。
ヨシュアが終始洗脳状態で主体的に交流できてないためか。
サテラ関連のエピソードが不十分。アズマリアとの交流は良いが、ロゼットの交流が薄い。(原作から削られた)
姉との経緯もやや掘り下げ不足でイマイチ。姉は結構華を感じる美女なだけに勿体ない。
レミントン牧師らのサブキャラたちがあまり見せ場なし。
牧師の描写が薄いため、最終話の余韻もやや惜しい。
終盤は敵ボスのアイオーンが強過ぎて終始ロゼットが翻弄されるため、爽快感が消えている。
かと思いきやアイオーンもあっさり退場(最終話実は死んでない)と、バトル面も盛り上がりに欠いた。
最終話は良き余韻はあるが、消化不良感も否めず。賛否が割れそう。
【総合評価】8~7点
00年代前半のゴンゾアニメで大好きな一作。
減点法だと粗は多いものの、2クール堪能できる魅力あり。
評価は「とても良い」