蒼い✨️ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
傭兵高校生。
【概要】
アニメーション制作:京都アニメーション
2005年7月14日 - 10月20日に放映された全13話のTVアニメ。
原作は、賀東招二による富士見ファンタジア文庫 (KADOKAWA) レーベルの小説。
監督は、武本康弘。
【あらすじ】
どこの国家にも属さずに、地球上各地の紛争やテロを軍事力で鎮圧をして、
平和の維持を目的として活動する極秘傭兵組織のミスリルは、
現代を遥かに越えた科学理論や技術、とりわけ電子工学などで莫大な利益をもたらす、
ブラックテクノロジーを知っている「ウィスパード」と呼ばれている、
その特殊能力を保持した千鳥かなめを、彼女を狙う企業や組織からの護衛のため、
17歳の傭兵の相良宗介軍曹を派遣した。
戦争ボケした宗介と平和ボケした日本の高校の日常では噛み合わず、
トラブルメーカーな宗介が、かなめに叱られるのが当たり前の日々が続いていた。
ミスリルから雇われていて世界中の戦地に出張せざるをえない宗介の、
日本の男子高校生との二足の草鞋は、かなめの側に常時いられるわけでない矛盾があり、
また、情報部からの別のエージェントが護衛として遠距離からのかなめの監視をしているため、
宗介のかなめの護衛任務を解き、ミスリルに帰還して本来の任務に専念させる決定が、
ミスリル本部で下されようとしていた。
【感想】
前作の「ふもっふ」がスラップスティックコメディ色が強いことの対比として、
今回は原作の長編エピソードを用いてシリアス色の強い内容。R-15指定作品であり、
美少女のヌードやウジのたかる死体など、刺激的な映像があります。
ロボットアニメではありますが、主人公・宗介とヒロイン・かなめの葛藤と、
それを乗り越える過程のドラマとアクションが今回のメインディッシュであり、
カタルシスを得るための暗鬱な展開が長い尺をかけて続きます。
宗介とかなめが半年の間、当たり前だったおバカな日常。
戦争まみれの人生だったのが人間らしく生きたいと望むようになった宗介。
自分の欲するものを求めて、悩み傷つきながら宗介を追いかけるかなめ。
物騒な彼らの青春になにかしらの感動?を得られれば面白く思えたかもです。
しかし、どことなく高橋留美子のパロディみたいなものが入り込んだ、
「ふもっふ」の世界観での、ラグビー回などのお笑いの積み重ねの日々を観るに、
それが何事にも代えがたい、戻らないといけない日常であると認識できなかった、
その自分には、宗介の苦悩する姿や、かなめの泣き顔の丁寧に作画された姿に共感をして、
彼らの気持ちに寄り添うことが出来なかったですね。
シリアスとギャグが半々の1期、ギャグに偏った2期ふもっふを経ての、
今回での長編シリアスの重さがかえって浮いてるように見えたのですが、
平和寄りの描写が減って話が重くなっているのは多分、
物語が本来の結末に向けてきちんと進んでいるからでしょうけどね。
敵組織のアマルガムが登場して、そのメンバーに感情の無い双子の美少女が新登場ですが、
宗介のあり得たかもしれない末路として、死に至るまで彼女らがモノ扱いだったり、
幹部のゲイツが頭おかしいイカレキャラなのですが、彼の2話と6話での描写が、
当時、京アニの子会社に在籍していた担当演出家が極端に下品な露悪趣味の持ち主であり、
その性癖に基づいた演出が他の演出家によるエピソードとのバランスが取れてなかったりで、
それらが、あまり良いキャラであるとは自分は思わなかったですね。
ガウルンの死に際など展開には瞬間的な驚きはあるけど、それらが後には残らないですし。
動きが丁寧で良作画ではあるのですが、のちの京アニほどの映像の魅力がまだない。
芝居の動かし方が更新される前の作品だと思うのが主なる印象であって、
SFミリタリーをネタにしたロボットの娯楽作品としては楽しめましたが、
何度も観ようとは思わなかったのが正直なところですね。
もう一人のヒロインのテッサについて何も語っていませんが、
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。