STONE さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
とりあえず簡単な感想
全体的な印象は諸々の要素のレベルが高くて、バランスがいいなと。
こういったアクションもので作画にキレのある作品は見ているだけで楽しい。
基本設定などは「GUNSLINGER GIRL」(以後、「ガンスリ」と表記)と似たようなところが
あるが、ガンスリが全体的に暗い雰囲気があったのに対して、本作は明るい雰囲気に満ちている。
政府により秘密裏に暗殺者に仕立て上げられたのに「よく明るくしているな」と思ったりも
したが、ガンスリも作品の雰囲気とは裏腹に社会福祉公社の少女たちはそれなりに幸福感を
感じていたようで、本作のリコリスも孤児だった過去より、周りに同じ境遇の仲間がいて、
自分に接してくれる大人たちのいる環境に楽しさを感じているのかも。
本作の明るさは主役である錦木 千束、及び彼女が務める喫茶リコリコに集う人々の明るさが
そのまま作品に反映されている感じ。
先に諸々の要素と書いたが、中でもキャラの魅力が際立って高く感じられ、その中でも千束が
飛び抜けている感がある。
彼女の魅力はキャストの安済 知佳氏の演技が相当大きく寄与している感があり、個人的には
他のキャストでは「ここまで魅力的なキャラにはならなかったのでは?」と思うぐらい。
千束は徹底して殺人を拒むキャラで、本来こういう思想のキャラは道徳感や倫理観が前に
出過ぎてて、あまり好きではなかったりする。
ただ千束の場合は幼い頃の吉松 シンジとの出会いによる刷り込み的体験から生じたものの
ようで、マイルドではあるが歪んだ信念のような描かれ方をしていたせいか、それほど嫌悪感は
なかった。
こういう幼い頃の体験によって生じたある種の狂気を感じさせる信念という点では、
「Fate/stay night」の衛宮 士郎の正義の味方願望に通じるものがあるような。
もう一人の主人公に関しては井ノ上 たきなに関しては、千束と共に行動するようになって、
次第に変わっていく過程が面白い。
この二人の関係性だが、序盤から中盤にかけては千束が彼女を引っ張っていたが、終盤は
互いが支え合う関係になっており、成長譚という点ではたきな中心の作品という印象。
千束サイドだけでなく、敵対者である真島などもなかなか魅力的なキャラ。
元々、松岡 禎丞氏の演じる悪役はそのいかれ具合が好きだったりするが、本作の真島も
そのいかれっぷりがいい感じ。
まあ松岡氏の演じるキャラは主人公、及びその味方のキャラ、あるいはバトル要素のない
コメディ作品などでもどことなく狂っている印象があるが。
真島の場合、DAが秘密裏に管理している一種のディストピアである日本を異常なものとして、
彼なりの正義感が働いているみたい。そこを正そうというのが彼の言うところの
バランス感覚なのだろうが。
こういう管理された平和を異常なものと捉えるところなどは、「PSYCHO-PASS」の
槙島 聖護の行動理念に通じるものがあるような。
ストーリーはキャラクタードラマとしてはともかく対犯罪アクションものとしては良く言えば
勢い重視、悪く言えば雑といった荒削りな印象で、なまじSFやファンタジー作品ではないため、
本作をリアル寄りなアクションものとして捉えると、粗が気になる人がいるのも
分からなくもない。
自分はそれはそれとした飲み込んで楽しめたが、結局こういう部分は個々の線引きに
よるからなあ。
2022/10/16