Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
救いたい 一人でも 守りたい この世界を
この作品の原作は未読です。
世の中には溢れんばかりの異世界系の作品が存在しますが、その中でも特に「優しさ」の光る作品だったと思います。
現代日本の薬学研究者であった薬谷 完治は
目を覚ますと、宮廷薬師の名家ド・メディシス家の息子、
ファルマ・ド・メディシスとして転生していた。
ファルマは間違った治療法や薬の調合、
医療行為と呼べない呪術やまじないが横行するこの世界の医療に絶望する。
前世で培った現代薬学に加え、
異世界で手に入れたチート能力【物質創造&物質消去】、
貴族だけが使える【神術】を駆使し、あらゆる疾病に立ち向かう。
そして、真に効果のある薬を広く人々に届けるべく『異世界薬局』を開業する……。
異世界チート×現代薬学!異世界の医療を変える人助けファンタジー、本日開業!
公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。
完走後にwikiをチラ見してビックリしました。
主人公であるファルマ・ド・メディシスを演じていたのは、あきちゃんだったんですね。
言われてみると確かにあきちゃんだ…
ですが、恥ずかしながら視聴最中には全く気付くことができませんでした。
これまで薬局という切り口の作品は、異世界モノじゃなくても少ないのではないでしょうか。
確かに、21年には「チート薬剤師のスローライフ」という作品が放送されましたが、製薬部分や材料などはリアルではなかったので、実際に再現するのは不可能でした。
ところが、この作品は実在する医薬品と疾患を題材としているため、専門家や医療従事者による指導のもとで執筆されているんだそうです(wikiより)。
だから、現実に薬の再現が可能なんです。
この違いは極めて大きく、知識がないと執筆できない類の作品なので、これまでに輩出された実績が殆どないジャンルだったんですね。
「薬」×「アニメ」でググっても、この作品しか出てきませんので…
ファルマは転生する前も、寝食すら惜しみながら薬学研究に没頭していました。
それは、彼が薬学研究の道に進んだ理由に直結していたんです。
これまで彼は適切な投薬治療が出来たら救えた命を見てきたからにほかなりません。
まぁ、本来死んじゃったら元も子も無いのですが、彼の場合、異世界で転生できたので結果オーライということで^^;
私は薬学に関しては全くの無知です。
だから難しいことは良く分かりませんが、これまで人類が克服してきた病が相手だったら治療できない訳はないんです。
ですが、人類が病を克服するまで数えきれない命を無くしてきたのも事実です。
天然痘、この作品で取り上げられた「黒死病」よ呼ばれるペスト、コレラ、インフルエンザ、エイズやコロナなど、パンデミックを起こした病原体は幾つも存在します。
この中で天然痘以外は、現在も根絶出来ていないのですから、本当にやっかい極まりありません。
中でも14世紀に発症した「黒死病」は、ヨーロッパだけで全人口の4分の1~3分の1にあたる2,500万人が死亡したんだそうです。
「薬さえあれば…」
きっと感染した誰もが思うことだと思います。
そして、ファルマが転生した世界は病に対する治療法が確立されておりませんでしたが、もし、治せるならチートでも何でも使えるモノは全部使って立ち向かう…
これがファルマの疫病に対する基本姿勢なんです。
「無」から色んな材料を生み出す事なんて、きっと神様にでも出来ないことで究極のチート能力だと思います。
でも、そんなチート能力もひけらかす素振りは微塵も無いので、嫌みが全く感じられないのも、個人的には高評価だと思いました。
それにあきちゃんをはじめ、本渡さん、麗奈ちゃん、伊藤静さんや長縄さんも素晴らしい演技を披露してくれているので、この加点も個人的には大きかったかな。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、石原夏織さんによる「夢想的クロニクル」
エンディングテーマは、Little Black Dressさんによる「白雨」
個人的にはオープニングに軍配です。
1クール全12話の物語でした。
「優しさ」の光る作品でしたが、全てがファルマを直ぐに受け入れられる筈もありません。
これまでの「しきたり」がまかり通っている世界において、ファルマの言動は異端であり害悪でしかありませんから…
でも、人々が何を選択するか…そしてその理由…変わるべくして変わっていく兆しをしっかりと満喫させて頂きました。
この作品も続編が制作されるのを心待ちにしています。