アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
悪女魔ドライブ!
●なろう系の致命的欠陥
本作は主人公の悪役令嬢が様々な {netabare} 逆境、苦難に苛まれるもポジティブな行動力によりこれを
見事に突破するのが一つの見どころでありますが、終盤戦辺りで感じたのはテンポが良すぎるのが
裏目に出たかの如く、最大のライバルであるはずの聖剣マスターのリリア様でさえ
雑魚程度の扱いで主人公があっさりと圧倒してしまい、あまりにサクサクとハッピーエンドに
辿り着いた、そのような印象を受けてしまったのには少し残念なものを感じました。
テンポがいいのは悪いことではありませんが、最後の最後のクライマックスでは
もう少し立ち往生するなり、苦戦するなりあった方が更なる最後の盛り上がり
につながったように思いました。
「ゲームの世界」に異世界転生するという成り行き上、否が応でも「ゲームの世界」が
意識されてしまいますが、それがいかにも作り物めいた軽さや安っぽさを想起させてしまう
のだとしたら、なろう系異世界転生ものの致命的な欠陥と言えなくもないのかもしれません。
魔王というラスボスを攻略するという発想自体も悪くないと思いますが、
思っていたよりもあっさり攻略できてしまい、そして一度攻略してしまえば
主人公の行動力が並外れているだけでなく、更に最強カードの「魔王」を切札として
常備しているわけでありますから、むしろ劣勢確実のライバルであるリリア様の踏ん張りに
無意識的な期待感を抱いてしまったりもいたします。
悪役令嬢と他のライバルたちとのパワーバランスが片寄り過ぎていたのも
最後の盛り上がりが今一つだった要因であったようにも思えます。
しかしながら総じて言えば、少女漫画テイストの効いたエンタメ性もある本作は
それでも十分に面白いわけでありまして、なろう系にしてはよくできた作品
であるというのが結論であります。{/netabare}
どこかで見たようなデジャヴ感満載のなろう系物語ですが
少女漫画風のエッセンスが強めだったのが個人的には好印象でした。
当方が少年誌系の物語に心惹かれないのは、主人公などのキャラの心理描写や
繊細な人間の心の持ちようについての描写が雑で丁寧でないような気がするからなのかもしれません。
本作の物語展開自体はどこぞの二番煎じのような風味を強く感じますが、特に主人公のキャラ性や
人間性については巧いこと伝わるように描かれており、よって感情移入しやすいため
自然と物語に引き込まれるような独特の吸引力が本作には備わってるように感じました。
{netabare}悪玉主人公にとっての真の意味でのラスボスとは恐らく、
簡単には手玉にとれない同性であり、
目には目を、悪女には悪女をという展開になるのでありましょう。{/netabare}