てとてと さんの感想・評価

3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

デザイナーを夢見る少女の恋模様と日常系。ママレードボーイや花より男子に比べると青春劇寄りの良作

NANA-ナナ-作者による「りぼん」の少女漫画で全50話。
日朝8時30分枠のママレードボーイの後、花より男子の前番組。
デザイナー夢見て芸術学院に通うヒロインの、お隣さん少年との恋や、友人たちとの日々が描かれる。

【良い点】
芸術や創作関係の友人たちとの平凡だが充実した日々の中で、ヒロインが少しずつ成長したり、恋が等身大に描かれる。
前向きな夢を持ってがんばる女の子の青春劇で、前後の少女漫画枠のように恋愛一辺倒ではない。
恋に恋するわけではなく、あくまで青春の過程で恋もする感じのさりげなさが良い。

主要キャラが社交的かつオシャレな雰囲気あり、多少の恋のすれ違いやケンカはあれど基本的に仲良しで雰囲気が良い。
相手男子のツトムはサル顔であまりカッコ良くはないが、お隣さんの等身大の交流で少しずつ惹かれていく、ラブコメとしては大人しい感じも好感持てる。
頻繁にケンカするが、幼馴染同士(ミカコとツトムは幼馴染ではない模様だけど)めいた気の置けない距離感を終始保っていて、安心て微笑ましく見ていられる感じ。
一見明るく強い女の子なミカコの、本当は弱い部分や、キラキラした才能を、ちゃんと分かってくれている、それもさりげないのがクール。

主要キャラ同士の恋模様も丁寧、群像劇として良い感じ。
両親含めて大人も良キャラ多く、芸術関係の夢に一途な娘を大らかに応援してくれる良い環境。

困難や課題にぶつかったり、恋愛や両親絡みのシリアスも多少はあるが、基本的に明るい雰囲気が魅力。
致命的な鬱展開は無いので安心して見られる。
困難に直面しても、今まで交流してきた仲間たちが支えてくれたり、母含めて楽天的キャラばかりなので安心。

服飾関係の夢に向かって、フリマ(フリーマーケット)で自作の服を売る過程で日常ドラマも良い。
中盤以降、先生から独りよがり等の課題を指摘されたり、恋人や友人との日々からも成長していく。

キャラデザは癖が強いが、デザイナー目指しているだけに服飾のセンスが良い(と思われる。よくわからんけど)。

声優陣はおジャ魔女どれみのおんぷちゃんで有名な宍戸留美氏の主演デビュー作。
上手いかはともかく、実果子ちゃんを活き活きと演じた。
他も山口勝平氏など実力派揃いで豪華。

宍戸留美氏が歌う主題歌もポップで主題を捉えた良曲。

【悪い点】
キャラデザの癖が強くて最後まで違和感。
良くも悪くも日本の漫画やアニメキャラぽくない、日本的萌え絵に親しんでいる自分的には微妙。
ファッションの良さは、ファッションセンス皆無な自分の評価点にはなりにくい。

良い点と裏腹、雰囲気は良いが、キャラやストーリー上の波乱に乏しく地味。
キャラは良い意味でも平凡で、故に面白味には欠ける。
タイトル通りご近所物語、50話通してあまり話が動かず。
ラブコメとして見ると前後の少女漫画枠に比べて地味だった。
総じて良作なのは間違いないが、50話視聴は飽きる。

終盤の両親の行き違い編がイマイチ。
結果良ければではあるが途中経過が楽しくない。
ラストも中途半端。

成長劇も丁寧ではあるが地味で、決定的な挫折や転機となるようなエピソードがあまり無い。
芸術芸の成長劇としては子供向けの域を出なかった感。

【総合評価】6～7点
惚れた腫れた一辺倒が多い少女漫画系ラブコメアニメとしては異色の、地味な良作。
魅力的な点が沢山あるんだけど、正直面白さはそこそこ。
評価はとても良いに値するが「良い」