Tenjin さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ひと夏の夢
おっぱい目当てで見に行ったら爽やかなジュブナイルだった、という作品。主人公アオヤマ君のとことん理詰めで考えるところがいいですね。のっけから自分の未来についての計画を真面目くさった調子で話し始めて、しれっと結婚相手まで決めてるし何だこれは、と思いました。こんな小学生はめったにいないでしょうが、変だからこそフィクションとしての意味があるとも言えます。
少年が主人公の物語ではあるものの、ペンギンはなぜ現れたのか、そしてお姉さんは一体何者なのかという疑問をすっぱり解決して終わるわけではないので、小さな子供には受けないかも。公開当時、劇場には家族連れがチラホラいて最後の方の展開は果たして理解できたんだろうか、楽しめたんだろうかといらぬ心配をしました。まあ、中盤の糸で歯を抜くところで毎回笑いが起きていました(3回見に行った結果)が、これはわかりやすくコミカルなシーンだったからでしょう。
音楽もなかなか良くて自分はサントラを買ったくらいですが、品の良いクラシック系がアオヤマ少年の育ちの良さに合ってますね。 楽しげなシーン、逆に暗く不安な気持ちを表すシーン、そして不思議で神秘的な物を目にするシーンとそれぞれの状況に応じた曲が適切に使われていて、劇伴としての仕事を十二分に果たしていると思います。個人的には、初めてペンギンが現れるシーンに使われている「ペンギン・ハイウェイのテーマ」が好きですね。新しい世界が開かれるワクワク感と将来の運命を予感させる悲哀の空気が共存する曲で、序盤なのになぜか泣きたいような気分になります。
声を演じる人たちは専業声優より俳優が目立つ配置ですが、問題なし。特に大事な二人、アオヤマ君とお姉さんは真っ直ぐなところと一筋縄ではいかないところがそれぞれ表現されていてとても合っていると思いました。
少年期の世界に対する探究心がまぶしいアニメなので、一度夏休み期間にでも地上波で放送して自意識が芽生え始めたくらいの子供に見てほしいのですが、「おっぱい」連呼がちょっと厳しいかもしれません。