バフォメ さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:今観てる
第一話では大衆娯楽の様式美を見た
ネットで頻繁に目にしていたタイトルで、なんかすげえ面白いって評判だったからAmazonプライムビデオで視聴。で実際観たところ普通に面白かった。視聴前にネタバレサイトで最終話までの内容を軽く流し読みしたが、それでも問題なく面白かったんでたぶん次回も観ると思う。
絵的には笑えるところが多かった。キャラクターの行動原理は単純で無駄が無い。主人公には明確な目的があるので問題なく話が進む。無目的の主人公を登場させた漂流団地の様に話が一向に進まないといったダルさが本作には無い。前置きが短く出し惜しみをしない。主人公に共感したり感傷的になれる要素も含まれていた。戦闘場面の演出が派手。地味な所で構図が良い仕事をしていた。CGの動きには若干の違和感あり。品質保持のためのにCGの方が良いって判断なんだろうなと。好みの問題かもしれないが、作中の敵キャラに見られる手描きっぽい作画の方が主人公の描画よりも絵的にかっこいいと思えた。違和感を覚えた原因は人物のプロポーションにあるのもしれない。肩周辺とか。
血しぶきや肉片が飛び散りまくるが、グロさは感じなかった。見ていて痛々しく無い。これは良いのか悪いのかわからん。しかし痛さの伝わるエグイ描写はどちらかというと苦手なので、俺にとっては好都合か。
個人的に本作のグロ描写から得る印象としては、医療系動画を視ている時の印象に似ている。クソどうでもいい話だが、俺は巨大粉瘤の摘出動画とかは好きなので良く見ている。俺が特殊なのではない。世の中にはその手の動画が好きな人は確実に一定数存在することを再生回数が物語っている。
一方で映画のSAWなんかの残虐描写は見ていてキツイ。後は爪を剥ぐシーン。あれは勘弁してほしいね。話を聞くだけでも悪寒が走る。そういうのが嫌過ぎて俺は未だに賭ケグルイを視聴していない。いずれにせよこの手のジャンルには確実にファンが付く。皆とは言わんが、みんな好きなんだと思うね実際は。
これは言語化するのが難しいんだが、せっかくなのでチェンソーマンを見た直後に俺が考えていることを記しておく。ちなみに以下はあくまで「俺の場合」の話であって一般論として書いているわけではない。
「俺の場合」は、対象を人体としての総体ではなく、部位や物質として捉えられる場合には、グロ系映像を見ても嫌悪感が生じないのかもしれない。例えば生きた人の肉を削ぐ様子には嫌悪感が生じるが、焼き肉を食う時に皿に乗った生肉を見ても、グロイから食えないなんて事にはならない。たぶん人の肉であっても食うに困れば――。あとは自分が怪我をして患部がパックリと開いてしまった時なども、不思議と何とも思わない。やっちまったものは仕方がないというか、焦っても意味が無い。さっさと患部を接合して回復段階に移行する必要がある。そこで採るべき適切な処置とはいかなるものかといった具合に、むしろ普段よりも冷静だったりする。具体的事象を前に想像を挟む余地が無いため恐怖心の発生が抑制されるのかもしれないが、謎。
ところが凌遅刑の話を見聞したりすると嫌悪感と恐怖を覚えるから不思議だ。後は鎖骨だな。鎖骨を折られたり鎖骨と僧帽筋の間を抉られたりとかは想像するだけで嫌になる。恐らくは勝手に痛みを想像して勝手に恐怖心を募らせているんだろう。想像というか妄想には限界が無いってことか。想像での痛みのシミュレーションは容赦がない。とにかく鎖骨は止めろ。喉もやめろ。鍛えようのない部位はやめるんだ。本作では鎖骨にチェンソーを押し当てるような描写が出てこないことを祈る。
とにかく、俺にとってチェンソーマンのグロ描写は医療系動画もしくは焼肉に見えているってことだな。そういうことなら本作を観ていて俺が楽しい気分になるのも納得できる。
主人公がチェンソーモードみたいになって暴れる場面はかなり笑えた。ついでに第一話は、分かり易く不幸な境遇の主人公が圧倒的な力を得て反撃し無双するという様式美の展開だったので、見ていて爽快感が得られる構造のシナリオでもあった。日頃からある程度不満募らせてる人なら見ていて気持ちいいんじゃねえかなと。
今シーズンはアキバ冥途戦争に続いてチェンソーマンを観た。今のところどちらも面白い。それぞれ第二話以降も楽しみだ。