てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ライアーゲーム作者による野球版「アカギ」的な異端の駆け引きが圧巻
闇賭博野球の無敵の勝負師が、弱小プロ野球団に入り、奇想天外な奇策の数々で快進撃する。
金に汚い弱小球団オーナーと不利な契約結び、オーナーは自球団勝利捨てて主人公負けさせようと足引っ張りまくる、が逆手に取って主人公の奇策が炸裂していく。
【良い点】
野球作品としてはあまりにも異端過ぎる奇想天外な作風。
野球、ベースボールという競技のあらゆるルールやシチュエーションの裏の裏までかいて勝利を引き寄せる、そんな手アリか!?と驚愕の連続。
「アカギ」が麻雀に疎い者にも麻雀の奥深さヒシヒシ伝わるのに比べても、野球版アカギな本作の野球観は負けていない。
自分は野球そこまで好きではないが、野球という競技の深遠な奥深さを思い知らされた。
圧倒的不利なワンナウツ契約で悪徳オーナーから足引っ張られながら悉く快勝してギャフンと言わす、終始痛快。
周囲のリアクションでコミカルだったり、痛快だったりと25話飽きさせない面白さ。
サイン盗みや反則合戦はライアーゲームにヒケを取らぬ面白みあった他、一番凄いと思うのは8話辺りの強打チーム相手にわざと大量失点、狙いは試合長引かせてのノーゲーム狙いという駆け引き。
1敗してもトータルで勝てば良いリーグ戦、点差開いていても逆転可能と、野球の特殊性を戦略的に見ている視点は凄い。
目先の1勝や点差に拘らない戦略性、ルールの本質を見抜く慧眼。
「アカギ」リスペクトなのは伊達ではなく、この戦略的視点は正にアカギの麻雀そのものだった。
心理戦や奇策の面白みもさることながら、主人公・渡久地東亜の勝負師としての信念や、それにチームメイトが巻き込まれ感化されていく流れも良い。
一途に常識的な野球人生歩んできた4番打者小島をはじめ、チームメイトの成長と信頼が育っていく。
アカギが孤高なのに対し、渡久地は仲間も巻き込んでいく、ここは野球がチーム競技ならでは。
常識に囚われない奇想天外で野球を小馬鹿していると見えて、誰よりも真剣勝負で勝ちに行く。
良い意味でジャンプヒーロー寄りなアカギな渡久地東亜の他、キャラも良い。
女房役な出口(いでぐち)はワトソン役として欠かせなかったり、悪徳オーナー、オーナーの隣で渡久地贔屓の本音ダダ漏れな宣伝部長など。
オーナーは悪党だけど、反抗的な部下を制裁せず隣に置き続けているのは大したもの。
無能さが一周回って有能になる監督もコメディー要員としていいキャラ。
非常識な奇策を素直に受け入れる事は中途半端な有能だと中々出来ない、監督が彼で無ければ渡久地もお手上げだったであろう重要キャラ。
周囲のキャラの良さと渡久地の茶目っ気のためか、会話劇も楽しい。
声優陣は渡久地はアカギと同じ萩原聖人氏、正に野球版アカギ。
他かなり豪華でオーナーは故・内海賢二氏が演じた悪役の中でもかなりハマり役。
【悪い点】
アニメ25話はようやく下地が出来た段階、これから更に面白くなっていく矢先に終了。
この先チームは快進撃続け、悪徳オーナー破滅していくのが見たかった。
【総合評価】8~9点
アカギよりも面白いかも知れない。
野球もまた麻雀にヒケを取らぬ奥深い勝負事なんだなと。
評価は未完なので最高ではない「とても良い」