ひろたん さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
明石さんが気づいていしまったこと
物語は、四畳半のいつもの面々の会話が少しずつ噛み合わないところから始まります。
そして、物語が進むとその理由が次から次につながり1つの点へと帰着します。
とても面白かったです。
■タイムマシン
{netabare}
この作品は、タイムマシンものです。
ノリは、バック・トゥ・ザ・フューチャーです。
過去改変しちゃったら、現在の宇宙が崩壊する、自分たちは、消滅する!
さぁ、こまったぁ、どうしよう!!
とにかくそれを取り繕うと「私」とヒロイン明石さんは、奮闘します。
でも、いつもの面々ですので、当然、すんなりいかずドタバタドタバタ。
そんな中で、噛み合わない会話の謎がとけていくのがすごく面白いです。
しかも、そのスピード感には、くせになるような爽快感があります。
{/netabare}
■ブルース
{netabare}
物語の舞台は、ある理由で真夏にエアコンが使えなくなった、おんぼろアパートです。
そんな中で、過去と現在を何度もいったりきたりします。
この狭いおんぼろアパートと言う世界と時間に閉じ込められている状態です。
すべてが終わるころには、もう、汗だくで、ヘトヘト、クタクタです。
その後、面々は、夕日が沈む中、鴨川の川べりを歩いて打ち上げに向かいます。
さっきまでの暑苦しさとは、一線を画す情景です。
これでやっと地獄のような空間と時間から解放されたんだなと感じます。
ブルースとは、奴隷制度で抑圧された黒人たちが、どん底で産み出した音楽です。
しかし、そんな悲しい中でも、明るさや楽しさ等の陽気さがあるのが特徴です。
そして、黒人たちは、奴隷解放宣言を経て自由の身となります。
この物語でも閉じ込められているのにもかかわらず、なぜか陽気さがあります。
そして、最後は、そこから解放されます。
やはり、物語全体を通して、「ブルース」だったんだなと実感させてくれます。
{/netabare}
■明石さんが気づいていしまったこと
{netabare}
いい具合に頭のネジが抜けている、明石さん。
でも、そんな明石さんがどうしようもないくらいにかわいいなと思えます。
そんな明石さんと「私」の恋愛もちゃんと描かれているところがよかったです。
この物語では、過去と現在を何度も行き来して、なんとか取り繕うことに成功します。
何事もなかったかのように元通りになって、みんな大満足です。
でも、ふと、明石さんは、気づいてしまいます。
すべては、あらかじめ決まっていたことではないのかと・・・。
つまり、元通りにしたのではなく、それすらも決まっていたことではないのかと。
この物語では、明石さんと「私」との間には、キュンとする恋の展開があります。
と、なると、実は、それすらも決まっていたことになります・・・。
この物語では、「私」が明石さんとなんとかお近づきになろうと、
あれこれ奮闘するところが面白いところです。
しかし、すべては、決まっていることだとしたら!?
何もしなくてもいいのか?
でも、やっぱりあれこれ奮闘しないと恋は発展しないのか?
いや、実は、奮闘すること自体が決まっていることなのか・・・。
なんだか、面白いですよね。
たとえ運命が決まっていたとしても、奮闘しなければならないと言っているようです。
それが、恋愛!
それが、青春!
{/netabare}
■まとめ
劇場が満員でした。
感覚ではなく、座席をとる時、私が最後でしたので、文字通り満員です。
子供は見かけませんでしたが、老若男女問わず幅広いお客さんでした。
とても人気がありますよね。
上映中は、笑い声が聞こえました。
上映後の劇場は、ガヤガヤとして、とても清々しく軽やかな雰囲気でした。
(重苦しい空気の中、みな無言で足早に劇場を後にする作品とは真逆です・・・。)
クセがある作品には、違いありませんよね。
「小津」の顔を大スクリーンで観たいかどうかが分かれ目!?
他のキャラも簡素なように見えて、実は、とても表情豊かで奥深いなと思えました。
私は、劇場で観ることができてとても良かったと思えた作品でした。