Tenjin さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
無難な滑り出し→できる範囲でよく頑張りました
原作ファンとしては期待半分不安半分といった感じでしたが、特に破綻はない出来で一応安心しました。
1) 人物の作画は割といい。特に主人公の寿雪は神秘的な美少女ぶりがよく出ています。食べ物につられて呻吟するところのコミカルな表情もギャップがあってよかった。
2) 一方で、背景は密度が足らない印象を受けました。昨今の実写と見紛うようなレベルのアニメを見慣れたせいかもしれませんが。
3) 声優さんは皆だいたい違和感なく聴けます。九九役の高野さんはキャピキャピした感じで若干他から浮いている気もしますが、キャラには合っているのでそのうち慣れるかも。
4) 構図やカメラワークにはもう少し大胆さがほしいですね。帝が皇太后に剣を振り下ろすシーンなどは、アップを使ったりしてもっと緊迫感を出せたのではないかと思います。
5) 話の流れは原作に忠実なので心配していませんが、小説に比べると内面の描写はどうしても省かれてしまうので、そこを独白やナレーションで補う工夫はあってもいいかな。
(追記:最終話まで見て)
上記は1話を見た時の感想ですが、最後まで見ても基本的には変わっていません。
ただ、作っていく中でアイデアも浮かんできたのか、色々工夫が見える場面も出てきてより見ごたえのあるアニメになっていった感じはありますね。12話のカンフー&剣戟シーンはよく動いていたし、10話の招魂の場面は上から見下ろすアングルが面白かったです。
総じて作画はアップに力を集中していた印象です。主人公の寿雪を始めとする女性キャラクターはその恩恵をよく受けている感じでした。男性キャラはクール系が多いせいもあって前半は地味な絵面も多かったですが、話が進んでお互いの関係性が増してくると表情豊かになっていったのは良かったんじゃないでしょうか(特に帝の高峻)。
声優さんは本当にナイスキャスティングで、寿雪役の水野さんは初主演ながら堂々とした演技でしたし、高峻役の水中さんも見た目に合ったいい声でした。そして、今回のシリーズでボスキャラ的立場だった宵月役の石田さんは怪しさ満点の声と演技で非常に存在感がありましたね。
小説をアニメにする際にどうしても抜け落ちてしまいがちな内面描写は一部をセリフにすることで補っているところもあり、苦心の演出ですね。それでもやはり足りないところはあって、例えば最終話で高峻が流した涙の理由はアニメだけでは多分わかりにくいでしょう。そこは尺の都合とか仕方ない部分もあるのかもしれません。気になる方はぜひ原作を読んでみてほしいです。
原作は全部で7巻あり、その中の2巻分で13話にしたのはかなり丁寧な作りと言っていいと思います。まあ、仮に残りを最後までやろうとすると最低でも2クールは要りそうなのが困ったところではありますね。
衣装に華やかさが足りないとか、キャラが棒立ちで動きがないシーンが目立つとか不満もありますが、原作小説の魅力のエッセンスをできる範囲で表現しようとしたスタッフの意気込みは感じられました。また、主に九九や淡海などで見られたアニオリシーンも違和感なく溶け込んでいてよかったと思います。
注目度の低さから二期は望みにくい状況ですが、原作終了後のアニメ化というミラクルをもう一度期待したいですね。