ウェスタンガール さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
電離層の歌姫
1970年代の中頃であっただろうか。短波ラジオで国際放送を受信する、BCL(ブロードキャスト・リスニング)と言う趣味が流行っていた。スカイセンサーなど、メカメカしい専用ラジオなども登場し、受信証明である“ベリカード”集めに血道を上げる根暗な同級生もチラホラということもあって、夜な夜な短波ラジオを布団に持ち込み、ロッドアンテナを振り回していた記憶がある。
ダイヤルを回すと、訳の分からない信号音や、お隣の国の“騒がしい”言葉に交じって、英語やロシヤ語(?)の歌声らしきものが聞こえて来る。それはまるで荒波の狭間から響く幽けき囁き。今にして思えば、正にサイレンの歌声の如く、不思議な魅力を発していたような気がするのだ。
しばらくして、それが電離層伝搬の賜物であったことを知る訳だが…。
詳しくは、高校の地学の授業を思い出して頂くとして…。
要は、紫外線がなくなる夜間、低い高度に存在する層が消滅し、電波が比較的安定した反射層である高層まですんなり届くことで、昼間は聞こえない遠い地方局の放送が聞こえ、さらに条件さえ良ければ地球の裏側との交流だって可能となるわけだ。
ために、短波は遠距離用通信に古くから利用されてきた。中でも『ブレイブウィッチーズ』の聖地でもあり、そそり立つ3本のコンクリート製円錐タワー(130m超)が印象的な長崎県佐世保市の旧日本海軍の針尾送信所が有名だ。
ただ、今回の『ルミナスウィッチーズ』では、それに止まらない。
地球の周波数といわれるシューマン共振(*)、7.83Hzの世界が描かれており、少々散漫なストーリー展開や、キャラ構成、声優さんの色々を差し引いて尚、ナイトウィッチそれぞれの秘めたる想いに共感できたこと、それをもって、ある意味満足の一編であった。
*シューマン共振は…、万物の創生を司る究極の…、
これ以上語ると、ムー民谷の住人と勘違いされそうなので…、
アセンション!
(追記)
『ストライクウィッチーズ』の1期、2期を通して、神回の誉れ高い、いわゆる『エラーニャ回』の答え合わせが出来たことが嬉しかった。
きっと人型ネウロイに違いない“〇ーチン”のおかげか、シベリア送りとなってしまった「お父さん、お母さん!」、「サーニャはここにいます」である。
さらに、召集令状の下りなど、微妙な表現を求められるエピも含め、少し考えさせられる終盤ではあった。
また今回初めて、多くの使い魔が描かれており、とても興味深かった。
八木アンテナをモチーフに、蒼く光る魔導針が印象的なナイトウィッチたちであるが、今回の主人公であるジニーちゃんの使い魔、モフィの謎解きが面白かった。
ルミナスたちの移動機が、夜間爆撃で名を馳せたアブロ・ランカスター、そして史実ではその好敵手の夜間戦闘機ハインケルHe219、その愛称が“ウーフー”(ワシミミズク)であることを加味すると、頭の飾り羽やポッテリとした身体、“モフィ”の正体はてっきり…、と思ってしまった。
それもまた楽しである。