てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
70年代の超人伝奇バトルアニメ。古さもあるけれど色褪せない
永井豪原作の全39話。シリアスな原作漫画とはほぼ別物、良くも悪くも子供向けヒーローな感じ。
主人公デビルマンは、人間界征服を狙うデーモン族だが、人間の女の子に惚れて、デーモン族を裏切り戦っていく。
基本1話完結のヒーロー物で、怪奇路線だったり、永井作品らしいコメディーだったりも。
【良い点】
子供向けの素朴なヒーローであり、また日常系的な親しみやすさもあり。
1話完結のバトルは怪奇ホラー的な恐さありつつ、日常パートがコミカルで楽しく、緩急メリハリがある。
良くも悪くも原作より子供向け、小難しい葛藤や思想は殆ど無い。
デビルマンは愛や正義だのお題目ではなく、ヤンキーが惚れた女一筋でがんばる結果論で人類守っている感じ。
邪悪ではないが善人でもない不良ヒーロー、こういう素直さ好き。
特に前半は不良めいたカッコ良さ。不良ぽくケンカ慣れしていて日常方面でも面白い。
デビルマンは初期は惚れたミキちゃん一筋で人類どうなってもいい感じが、日常を過ごすうちに変化、主題歌の通りに愛を知っていく流れも良かった。
後半にいくほど人間的に面白味が出てくる。小学生のタレちゃん達との交流も良かった。
怪奇ホラー系の話は特に面白い。
6話ロクウェルの首が白眉、ホラーアニメとして一品級。
第23話「妖獣ベラ チベットの怪」も。
コメディーパートが楽しい。
永井作品の他作品キャラなアルフォンヌ先生やポチ校長のコメディーリリーフぷりは笑える。
特に30話は敵のホラー攻撃がアホ過ぎる先生には全く通用しないギャグで笑えた。
バトルシーンは70年代の子供向け1話完結ヒーローの流れだけど、プロレス的な様式美が熱い。
人間時の傷が変身時に悪化し苦戦する設定も緊張感出していた。
作画は古いけれど、令和アニメには失われた勢いと活力感じる。
デビルカッターやデビルビームなど必殺技を叫ぶバトルもベタながら良い。
敵がトリッキーで飽きさせず、デビルマンも結構クレバーに工夫して弱点突いたり。
敵の女の子が結構可愛い。
8話イヤモンとか、12話ファイアムとか、小悪魔妹的な可愛さ。
8話は主人公の方が敵とはいえ女の子縛って鞭でピチピチやっていて子供向けアニメとは思えぬHさが。
そして26話より登場のララちゃん可愛い。
おバカ系だけど根が良い子、天然ぷりから少しずつデビルマンに惚れちゃう可愛い。
ヒロインとしてミキちゃんのお株奪っていただけに、終盤退場は悲しかった。
楽曲は主題歌として素晴らしく、BGMでも大いに盛り上げた。
【悪い点】
全編通しての脚本は雑で、70年代子供向けの限界を感じる。
序盤3話でデビルマンがミキちゃんに惚れて優しさを知る過程が唐突だったり、敵ゲストのドラマがありそうでいて雑に終了したり、色々とドラマが浅い
1話完結の縛り故か、ミレーヌやムザン将軍など重要そうなキャラを小出しにしては大した見せ場が無く退場していく。
特に中盤からレギュラーとして存在感見せたララが死亡時アッサリなのは残念。
1話完結として見ても、敵の攻撃方法は面白いが、大きな流れはワンパターン。
ドラマの幅が狭く、あまりカタルシスが無い。
ミキとのラブコメに関してもイマイチ。
ミキちゃんが性格的にあまり可愛くないのもある。
最終話の信頼は美しかったが、もう少し交流ドラマが見たかった。
女の子のキャラデザが可愛くなく萌えにくい。
非常に古いアニメなので仕方がない。
必ずしも悪い点でもないが、デビルマンは最後まで正義のヒーローではなかった。
最終話、モブが大勢殺されててもギリギリまで動かなかったり。
この点はむしろらしくて好きだけど。
【総合評価】7点
70年代前半の名作の一つ。古い作品だけど、全39話申し分なく楽しめた。
現代視点だと物足りなさも目立つものの、色褪せぬ魅力が確かにある。
評価はとても良いか迷うが色々惜しい「良い」
【余談】デビルマンと鬼滅の刃
イヤモンちゃん何か見覚えがあるな?と思いきや堕姫を彷彿とする妹系敵キャラだった。
異形のお兄ちゃんとの関係とか、妓夫太郎と堕姫の大先輩かも。
イヤモンの方が堕姫よりしっかり者の妹ではあるけれど。
万が一リメイクされたとしたら、イヤモンちゃんは沢城みゆき氏のイメージ…