みのるし さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
残念ながらノスタルジーには浸れません。
これですね。実は最初見に行くつもりなかったんですよ。
だって子供が漂流する話っていっぱいあるやないすか。
まあ、こおゆうのんて冒険譚の王道なんで基本的に何見てもおもろいんですけど、どおしてもおなか一杯感が否めないといいますか。
なんですけど、この作品なんだかやたら評判がいいのんと10月1日は映画が安く見れるとゆうのもあって心斎橋迄見に行ってきましたっすよ。
いやー。見に行ってよかったっすわ~。
めちゃくちゃよかったっすわ。
もー泣きまくりでしたってば。
映画始まってすぐえらい勘違いしてたなーと気が付くんですが、このハナシ、子供が漂流するんじゃないのですよ。
団地が漂流するんですよ。
おお。よく見たらタイトルが『漂流団地』になってるやんけと。
だからといって団地が漂流するだけの映画なんか作っても誰も見ませんので、この映画自体は話の筋としてその団地とゆかりのある子供達が偶然そのタイミングで団地と一緒に漂流することになり、そしてその子供たちの心と成長と開放に至る話をうんまい具合に絡めた1級のエンタメ作品にと仕上がっております。
ボクは昭和41年生まれですのでもちろん団地、デパート最上階のレストラン、屋上遊園地等それらみな子供の頃の思い出がよぎるノスタルジーあふれるゾーンではあるのですが、残念ながらノスタルジーには浸れません。
なぜか。
それはどれも全部{netabare}朽ち果てて{/netabare}いるからなのですよ。
なので途中で気がついちゃうわけですよ。
戦後の焼け野原から高度経済成長を成し遂げた人々の心の支えになっていたであろう生活インフラとしての{netabare}役目を終えてこの団地は墓場{/netabare}に向かっているのだと。
そのほかたとえば遊園地。
ディズニーランド・USJは大盛況。
でもボクらが子供の頃に愛した遊園地はドリームランドだったり、あやめ池遊園地だったり、伏見キャッスルランドだったり、宝塚ファミリーランドだったり。
ボクら世代の思い出の地はもうどこも残ってない。
要するに海外から入ってきたものに全部駆逐されちゃってるわけです。
かつてはジャパンアズNO1とゆわれた日本の主だった産業も多くのものはここ30年ほどの間に海外のものに駆逐されちゃってるわけです。
この作品の監督の石田祐康氏がどおゆう意図でこおゆうテーマにしたのかわかりませんが、ボクには『日本よ!頑張れ!前を向いて!』そういうメッセージが込められているのだと勝手に解釈しました。
そしてこう続けます『子供たちを見ろ!過去を清算して再び前を向いていこうとしているぞ!お前たち大人は何してんだ!』と。
そう思ったらとたんに涙がぽろっぽろ出てきて止まりませんでした。
この映画は見る人によって、または見る世代によってとらえ方がいろいろなんじゃないかと思わせる実に懐の深い、素晴らしい映画です。
航祐くんと夏芽さんの心の描写にうーんとうなるもよし、のっぽくんと遊園地の精の生きざまに心打たれるもよし昭和を支えたインフラたちへ思いを馳せるもよし。
映画を見終わった後、何とも言えない満たされた気持ちになることうけ合いです。
超超超おススメです。