「この世界の(さらにいくつもの)片隅に(アニメ映画)」

総合得点
79.4
感想・評価
101
棚に入れた
662
ランキング
504
★★★★★ 4.3 (101)
物語
4.4
作画
4.3
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.3

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二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

この限りない虚しさの救いはないのだろうか

こうの史代さんのマンガを原作にした劇場版アニメ『この世界の片隅に』に40分程度の追加カットを加えた長尺版です。
元々2時間9分の劇場版だったのが、追加カットにより2時間48分となり、そこそこ長いです。
また、追加カットにより作品のイメージが若干異なります。
個人的には、通常の2時間9分の方がおすすめですが、好みの分かれるところと思いました。

大まかなストーリーは『この世界の片隅に』と変わらないです。
太平洋戦争が開戦し激化しつつある時代の広島に、「浦野すず」という絵が上手な少女がいた。
18歳になり呉から縁談の話が入り、「北條周作」と祝言をあげる。
呉での生活が始まり、なんとかこうにか暮らしてゆくが、戦争はますます酷くなってゆく展開です。
すずの声優を担当しているのんさんは、元々関西の出身ということもあって、声に違和感はなく、とてもあっています。
本作では、新しいキャラクターとしてテルちゃんという女性が登場し、こちらは声優の花澤香菜さんが声をあてていますが、どちらかというとそっちのほうが声に違和感を感じたのが意外でした。
福岡の方の方言を話す女性なのですが、私自身生まれが福岡だからか、イントネーションに違和感を感じました。

中盤までは『この世界の片隅に』そのままで、目立って加筆が入るのは中盤以降です。
中盤、すずは、道に迷ったことをきっかけに遊郭で働くリンさんと仲良くなります。
彼女、リンさんのシーンが増え、元々匂わす程度だった周作とリンの関係性がくっきり浮き彫りとなって見える形になりました。
その上で、すずと周作の結婚生活に加筆が入り、そもそもすずが呉に嫁に来た理由についても明確となっています。
つまり、男女の関係や夫婦の日常描写に追加カットが入っています。
原作にもないオリジナル展開で、戦時中における、とあるありふれた一家の日常描写だったのが、本作ではいくらかドラマティックになっていると思いました。
ただ、個人的には、そこは割りとどうでもいいと思える箇所で、それよりも原作でこうの史代さんが描いていた、呉に停留していた軍艦、弾薬の種類や仕組み、隣組の仕組みについて、詳細に描いてくれたら良かったのにと思いました。
アニメでも盛り込まれてはいましたが、マンガに比較するとだいぶカットされているので、より原作に近づけてくれた方が、個人的には嬉しいですね。

ラストも変わらないのですが、何度見てもやはり涙腺に来ました。
多分4回目くらいの視聴で、マンガの方も何度も読んでいて、あらすじは知っているはずなのに、何度見ても不思議と涙が止まらないです。
『この世界の片隅に』であっても、長尺版の本作であっても、どちらも変わらず名作ですが、両方見てしまってもいいと思います。

投稿 : 2022/10/02
閲覧 : 147
サンキュー:

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