nyaro さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
追記 アビス深淵=イド(リビドー・性衝動)こそが本当の意味?
追記 ネタバレ警告がありましたので、修正がてらついでに性表現の意味について。
本作の上層の面白さは否定しません。話が進まなくてつまらなくなっているというのも事実です。
で、本作って何かなあと考えると、レグもリコも原作者本人なのかなあ、という気がしています。
初めからロリ、サド、スカ、リョナ、ショタ、ケモミミ、クリーチャー、スナッフ…あらゆる異常性癖のオンパレードです。アビスはすなわち深淵ですから、これは人間のイドのアナロジー、つまりリビドーと呼ばれる性衝動のことだと思います。いや、アナロジー以前に隠していないですよね。ある意味、村上春樹です。
スピンオフの「マルルクちゃんの日常」ではしっかりロープでつるされてましたし、1期の1話冒頭で「次は裸吊りではすまないからね」という言葉が入ります。サディストですよね。これは原作ではしっかり絵で表現されていました。更に人間が解体されます。これは完全にリョナ属性です。
作品としても、お腹とか腰の見せ方、時折描かれる裸の描写など、SF作品として評価を得てなければ、正直かなり閲覧注意の薄い本の絵柄に見えたりします。原作はもっと直接的にそれを感じます。
主人公として、男女に置いている意味ですね。リコはわかりやすく、徹底的に痛めつけられます。体液や排せつ行為すら描写されています。完全にマゾの対象です。
レグの力は男性的な力強さを持ちながらもショタで、しかも性器が付いたままです。女性の裸に欲情…とまでは行かなくても興奮したりします。で、彼がサドかといえば、こちらもマゾの対象です。
この2人は男として、女としてのイジメ=異常性行為の対象であるという点で原作者がサディストであることはわかると同時に、一方で自分もいじめられる立場になりたい、ということを感じます。
レグは対象であると同時に自分もその立場になりたいということだと思います。昨今流行の女子同士にならなかった理由は、リコと結ばれたいからでしょうし、自分を投影したいからでしょう。強さもまた憧れなんだと思います。
で、リコですね。ここも私は原作者の性的対象であると同時に女として、いじめられたい、排泄を見られたいという性衝動かなあという気がします。身体性が生々しすぎます。描写的に頭ではレグに、感情的衝動的には原作者はリコに乗っかっている気がします。
更にリコとレグの一体感の強さから言って、この2人を分離するのが不自然な気がします。つまり、自分の中の男と女の表現かなあと思います。
そうなると、子供=子供オトナのまま気ままに性癖を楽しむオナニーを1人でしていたい、1人というのは創作者としてのイマジネーションであると同時に、自分の中のあらゆる性癖の統合としてロリショタ合体したセルフイメ―ジです。加害者でもあり被害者でもありたいという意味性も感じます。
それは、女性との性行為はしたくない、という風にも見えますし、あるいは大人に虐められる描写が余りにも多いという点で、大人の性欲の奴隷になっている子供に対して深い業があるのかもしれません。
そして原作者は露出狂なんでしょう。自分の性癖を見て、というメッセージにも感じます。それが本作のモチベーションになっている気がします。自分の作品をオカズに出来るタイプなのかもしれません。
深層に近づくほど、描写が残酷になるのは、自分の性癖の業のような気がします。そして、最後にリコと結ばれてしまうと、そこで実はアビスの底は「大人の世界」=普通の世界だった、となる気もします。
以下 初見のレビューです。
感動ポルノ化して、SF的な意味もアビスの神秘性も喪失した気がします。
かなり楽しみにしてたので温めてました。同時に劇場版がちょっと感性が合わず心配もしてました。本作は心配の方に傾いた気がします。
本シリーズの特徴は冒険SF的な面白さと、残酷グロテスクな表現で心がかき乱されることだと思います。
実存主義的な不条理な現実の中でも自分が生き残る選択をし続ける。母のたどった道をたどる。それが人間の存在ということと見ることもできます。
この手の物語は、私は短編に限るかなあと思います。なぜかといえば残酷さもグロテスクさも、過酷な状況も、どんどん感動が薄れてくるのを避けるために、インフレが起きるからです。結果として1期の物語が茶番になってゆきます。
{netabare} しかも、劇場版および2期と、単発のエピソード、サイドストーリーなので話的にはカットできる感じがします。いやそんなに5・6層にうじゃうじゃ人がいるのかよ、みんな到達してるじゃん、というシラケにつながっています。
ストーリー展開としては、白笛の設定、あの卵みたいなやつと、レグの由来については若干説明はありましたけどほとんど進んでいないのと同義です。さらにいれば、この展開のせいでアビスの神秘性がなんでもありじゃん、という感じでした。
SF的な面白さが薄まり、残酷性、グロテスク、生死の意味性も薄まった、なんというか安心して見られるシリーズ化してしまった感じです。ナナチは死なないだろうなあと思われて、その通りになったらお終いだと思います。
リコはどこにいっちゃったの?ナナチとミーティーの物語をリプレイされてもなあと思うし、ヴエルエルコの身体を弄ばれていているとこなども、悲劇性のための悲劇性です。エピソードとして何かを描こうといしているのかもしれませんが、母性とか子供とかのワードは出てきますけど…逆にそういうところが、ある意味感動ポルノ化していないか、ということです。{/netabare}
まず、この2期を見てこれが第1印象でした。もう少し意味性を読み取らないと読み落としがあるかもしれませんが、ちょっともうシリーズを追う事自体が苦痛になってきました。
作画レベルは高いし、そうはいってもストーリー性はあるので点数は3程度は残りますが、正直20点/100点満点くらいの印象でした。