二足歩行したくない さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
私は君と会えて嬉しい!
A-1 Picturesのワンクールオリジナルアニメ。
監督の足立慎吾氏は基本は作監さんでしたが、本作が初の監督作品となります。
初監督作品にも関わらず、他の方のレビューを読んでいると、とても評判がいいですね。
マンガやゲームを原作としていれば事前に大々的に宣伝をしたり、原作ファンをそのままアニメに持ってこれますが、オリジナルアニメはそういう意味でとても難しく、どういう内容か事前にわからず見てみないと好みに合うかどうか、判断しづらいものがあります。
その点でいくと、本作は、およそ万人に受けるものだと思いました。
特殊な方面に尖っておらず、王道感がありながら先が見えず、テンポが良く毎話安定しておもしろい作品でした。
主人公は「錦木千束」と「井ノ上たきな」という二人の女の子です。
ネタバレしないよう気をつけてざっと説明すると、この二人は、国家直属の極秘治安維持組織・DAに属するリコリスと呼ばれる実働部隊のメンバーです。
犯罪を起こそうと謀略・画策する者を、それが実行される前に食い止める機関がDA、DAで実際に阻止を実行するのがリコリスです。
食い止める方法は主に暗殺で、その存在は一般に知られておらず、表向きには、日本はテロが発生しない、治安の良い国家ということになっています。
DAで作戦行動をしていたたきなは、ある日、仲間を守るため命令外の行動を行い、DAから支部に飛ばされてしまいます。
そこは、表向き喫茶店を営業している「喫茶リコリコ」で、DAに戻りたいたきなは、喫茶リコリコの千束といやいやバディを組むというストーリーとなります。
かなりディストピア感がある世界設定です。
リコリスもDAも安直に正義とは言えず、構成員は孤児などの戸籍を持たない少女たちで、親方日の丸とはいえやっていることは明らかに人道に反しています。
ダークヒーローモノかというとそういうわけでもなく、そういう後ろ暗い事情を加味した上で、底抜けに明るい千束の行動に、ため息をつきながらたきなが追従する展開となります。
この二人のやりとり、そして心境の変化がおもしろく、最初は呆れていたたきなも、だんだん千束に惹かれていく様子が見て取れます。
終いには押しかけ女房じみたことをするシーンもあり、おじさんは大興奮で視聴していました。
是非はさまりたい、物理的にもはさまりたい、はさまりたいが、即射殺されそうですね。
ゆりゆりな女の子のガンアクションアニメかというと、シンプルにそういうわけでもなく、千束には秘密があり、それがストーリーに大きく関わります。
過去に起きた事件により半壊した電波塔、貧困孤児などを支援するアラン機関、取引を行った形跡だけを残して消え去った1000丁の銃、物語は一話進む毎に新たな謎を生み、やがて収束していきます。
組織や事件が登場しますが難しい内容ではなく、うまくまとまっていると思いました。
続くような終わり方ではなく、ワンクールでキレイに完結しています。
続編を作れそうな余地はあり、各所で評判がいいので、続編があるのではと期待しています。