テナ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
守るべき大切な人
これは1話見て次の日……原作を買いました。
小さな女の子……八重花ちゃん。
彼女はお父さんと離れてようやく父と暮らせるようになる。
その父は……組長だった。
組長は組の若頭の霧島に八重花の世話係を任せる事になる。
世の中のヤクザと言うものに、どんなイメージを持ってますか?
怖い、ヤバい、関わりたくない、乱暴者、などでしょうか?
幼い頃は私もそうでした。
でも、自分が大人になると、ヤクザとはホントに怖い人達なのか?と思う時があります。
ヤクザだって人間だし優しかったりする1面もある。
怖い時もあるけど優しい時もあるそうした1面を使い分けられる人達なのではないでしょうか?
私のヤクザのイメージに近いのが、この世話係霧島です。
仕事先では怖いヤクザだけど、家に帰ると組員や八重花には優しかったりする。
霧島と八重花は最初はなんかぎこちない。
霧島からすれば、八重花の様な子供相手は慣れてなくて……八重花からすればタダの世話係…ってか周りウロウロしてる人レベルでしょうか?
そんな2人が話が進む事に仲良くなりお互いを認め合うくらいの仲に進展してくのが素敵なんてす。
八重花ちゃんにとって家族は父と母と母の妹のカナミさん、なんです。
子供って大人が見る以上に大人を見ています。
大人が機嫌悪いとか忙しいとかも感じとれます。
だから参観日のプリントを彼女は隠します。
参観日のプリントを見せても忙しかったり訳ありだから来られないのを知っていて……隠してしまう。
八重花の父の組長は「俺はお前の望みを多くは叶えられないかもしれねぇ、だがその望みを消すような事はしなくていい。我慢を覚えなくていい」と八重花に言ったそうです。
うん、親からみたら我儘って困るものだけど嬉しくもあるんですよね。
どんな親でも全ての望みを叶えてはあげられないらけど、子供がして欲しい事を押し殺して全てを諦めちゃうのは悲しい…だから、例え叶えてあげられなくても話して欲しいって思うのです。
でも、彼女は望みを消そうとした。
参観日に来て欲しいって望みを。
それに気づいた霧島は悩む。
霧島は血の繋がりもないし家族じゃないし……ただの世話係なんです。
八重花ちゃんからみたら、世話係と言う名の知らないオッサンが霧島です。
だから、霧島は家族ではない自分が行っても喜んでくれるのか?と考えるけど参観日に足を運びます。
八重花ちゃんは喜んでくれて、八重花の中でこれを機に、ただの世話係を名乗るオッサンから家族になったのです。
八重花ちゃんのお母さんは意識不明で病院で眠り続けていました。
しかし、八重花ちゃんはお母さんのお見舞いに行きません。
理由としては……お母さんでありお母さんではないからです。
寝たきりのお母さん……
彼女の知るお母さんは、手を握ったら手を握り返してくれる。
話掛けたら話してくれる。
笑い掛けたら笑ってくれる。
それが八重花ちゃんのお母さんのイメージなんです。
なのに、病院にいるお母さんは手を握っても話かけても笑っても無反応で……八重花ちゃんはそんなお母さんは知らなくて……
だから、お母さんじゃないって彼女はお母さんを遠ざけて…………
八重花「嫌だ行きたくない、だってお母さんなんかずっと寝てるお母さんなんか知らない人だもん!」
凄く寂しかったんだと思う。
八重花ちゃんくらいの歳ってお母さんに凄く甘えたい年頃だと思う。
周りの人はお母さんが居てお母さんの話をするけど八重花ちゃんはそれが出来なくて……
「お父さんはお母さんをみたら寂しい顔をする。それなのにお母さんは起きてくれないの。お母さんは私の事が嫌いなの」
多分、お母さんが起きてくれない事も、寂しいお父さんの顔を見るのも辛かったんだと思う。
人の気持ちがわかる子だから余計にかんじるものがあるのかなって。
霧島は八重花ちゃんに優しく話ます
「お嬢のお父さんは、とても強くて優しいですよね。
お嬢のお母さんはもっと強くて優しい人なんです。
そんな2人が一緒にいたら何だって出来ちゃうでしょう?
だから神様がお母さんに、意地悪な魔法をかけたんです。
この魔法は、とても怖くて寂しくて、神様に降参しないと楽になれない魔法です。
でも、お母さんは降参しなかった。
それが何故だかわかりますか?
お嬢の事が大好きだからです。
どれだけ苦しくても例えずっと起きれなくなってもお母さんにとっては関係ない、ただ、大好きなお嬢と笑って生きるためお母さんは神様と戦う事を選んだんです。
お母さんは今、夢の中で戦っています。
一緒にお母さんを応援しにいきませんか?」
↑長いセリフだけど、子供にもわかりやすい説明だと思いますし、お母さんの頑張りが伝わります。
八重花ちゃんは話を聞いて「私、お母さんが頑張ってるのに酷い事言っちゃった」と後悔します。
八重花ちゃんは何も悪くないんだけど、病院で謝るシーンがまたウルウル来ます。
この話は私を泣かせるには十分なレベルですね……
八重花ちゃんのお母さんは自分が事故した時に「私が次に目を覚ますまで、八重花と一彦さんをお願いね。2人共とても寂しがりだから」と霧島に伝えたそうです。
ホントに強い人ですね。
自分が重症なのに家族を心配出来るのは強くて優しいからです。
多分、彼女はしばらく自分が目覚めない事を知っていたのだと思います。
それでも、次に私が目を覚ますまで、って言葉は必ず目覚めるからって決意に感じました。
逆に組長の「知らなかった。組一つ纏めるより娘1人支える方が難しいなんてよ。きっと俺が悩んで苦戦することもお前は笑ってやってのけるんだろな」って八重花ママに語りかけたセリフには、子育ての大変さや難しさが込められていて、母親の凄さを知ってるから言える言葉なんだろうなぁ〜と感じました。
誕生日の話。
八重華の誕生日に桐島はプレゼントを贈る。
霧島はプレゼントを貰ったことは無く、誕生日に霧島は毎年、母の作ってくれたケチャップでおめでとうと書かれたオムライスでした。
彼の家は裕福では無かった。
それでも母が精一杯頑張って作ってくれたらオムライス。
それが霧島の誕生日プレゼント
だから、霧島もオムライスをプレゼントします。
霧島はこれを気にプレゼントは気持ちって意味を知ります。
プレゼントは気持ちですなんて言われます。
プレゼントを贈る時に、何を送ろうか?と考えて安い物は失礼か?なら高い物がいいか?とか考えませんか?
まっ、万人受け喜ばれるのは現金でしょうねw
でも、私にはプレゼントって何かを贈るより気持ちを贈るってイメージなんです。
受け取る側の考え方で変わると思いますが私だと。
たとえば、品物……高くても安くても、何にしようか?とか、プレゼントを探しに行こうか?と考えて足を運んで貰えた事や私の為に割いてくれた時間が嬉しいし。
品物じゃなくても、綺麗な景色とか、歌とか、でもいいと思う。
これだって、その人を思って考えたりしてくれてるわけじゃないですか。
今回は霧島はオムライスを選びました。
料理を普段しない霧島が、八重華の為に時間を掛けて心を込めて作るオムライス。
その作ってくれた時間や何を贈るか考えてくれた時間がやっぱり嬉しいかなと思います。
そうして、霧島自身も贈られる側から贈る側になり、そのオムライスに込められた気持ちの意味を知る。
そして、多分、何よりも嬉しいプレゼントだったんじゃないかな?
だから、霧島は八重華にも贈りたくなった。
だって、そうでしょう?
自分が貰って嬉しくないプレゼントなんて贈らないでしょう?
嫌いな人になんてプレゼントは贈らないだろうし、相手を大切に思うから祝ってあげたい、何かしてあげたいって思うから贈る訳じゃないですか。
品物でも何年後かに見たら当時の事を思い出せたりするし、形に残らずともいつまでも心に刻めたらそれは素敵なプレゼントではないでしょうか?
だから、私はプレゼントは気持ちを贈る事なんだろうなぁ〜と思いました。
元組員 アオイが挨拶に来ます。
彼は組員を辞めた理由がありました。
それは、自分の妻を優先させた結果です。
ある日、妊娠で入院していた奥さんの病室に仕事で遅れたアオイが顔を出します。
しかし、彼は怪我をしていたのです。
組員の仕事って……なんだろ?
でも、多分、結構大変な事も多くて……
でも、アオイの妻はアオイが組員である事や彼が家族のように接している組織を受け入れてくれた奥さんだったのです。
でも、そんな時に怪我をしたアオイを見た彼女は、きっと怖くなった。
それは、アオイや組が怖いのではなく。
アオイが居なくなる事が怖かったと思います。
大切な人には危険な事はして欲しくないし、もしも大きな怪我をしてしまったら……最悪……命を落としたら……それが怖かった。
それから心配で、よく体調が悪くなったみたいで…………そんな時に、アオイは奥さんに心配させていた事に気づくのです。
そして、アオイは組長に相談します。
組長「組の他にもぅ1つ守るものがあるなら、その選択肢から組を外せ、この組を守るやつはテメェの他にもいる。だが、残った1つはテメェにしか守れねえもんじゃねえか、命懸けて守るものは、1つしかいらねえだろ」
これは本当にね。
家族を守っていくってそういう事です。
勿論、組にいても守れるならいいけど、アオイの様に心配して奥さんが体調を崩す日々が続く……それは守れてないのと同じです。
人は勇者でもなければ英雄でもないヒーローでもありません。
1人の人が守れる者には限度があります。
それでも、全力で家族を守ってゆく。
それが、父の強さではないでしょうか?
彼は彼にしか選べない幸せを選んだ、その幸せを自分が感じ家族にも感じてもらう。
それが、父としての強さの原動力なのだと感じました。
だから、彼は組員としてではなく1人の旦那として彼にしか守れない家族を選んだのです。
きっと、奥さんは安心したと思います。
アオイが、どれだけ組を家族として大切にしているかは知っているし、組の家族と離れさせてしまった事も多分気持ちとしては申し訳なさとかあると思います。
それでも、大切な場所より自分を選んでくれた。
自分の家族を選んでくれたのが、きっと嬉しかったのだと思います。
大切な場所を去ってでも大切な人を選ぶ。
選ばれた人は本当に幸せだと思います。
そういう気持ちがやっぱり嬉しいし、アオイの奥さんは幸者ですよw
お嬢のピンチ……
昔、霧島が潰した組の残党が霧島に復習する為に下校中の八重花を人質に取ります。
更には手を出して傷つける……
子供を人質とか子供に手を上げるとか人として終わってる。
どんな理由があろうと子供を大人の問題に巻き込んだり暴力を振るうっていい理由なんてものはありません。
しかし、今回襲撃してきた奴らは最低最悪の底辺みたいな奴だった……
アスファルトに倒れこんだ八重花を目にしてブチギレる霧島……
本当にショックだったと思う……大切な存在を傷つけられた事……自分達の事情に巻き込んだ事……でも、それよりショックなのは、八重花に怖い思いや痛い思いをさせた事でしょうね……
多分、殺してやろうと思ったと思います。
だから、敵から奪った銃のトリガーに指を掛ける……しかし思いとどまる……八重花が力一杯の言葉で霧島を呼んだから……
八重花の前で銃のトリガーを弾けない。
きっとそれは……彼女にこれ以上の不安やショックを味合わせない為です。
頭に血が登ろうと彼女の言葉で冷静になるシーンは八重花の事を大事に思っているからです。
病気に運ばれた八重花……
組長から「これは桜木組の問題だ。そしてテメーが今すべき事は八重花の世話係である事だ。八重花が1番望むのは目を覚ました時にテメーがいることだろ」と
それでも、組長命令を破ってまで敵の残党を潰しに行く……
これは辛いよね……待つって地獄のような長さだと思います……
目覚めない人を待つって不安で心配です。
気を失った八重花を見るのは辛いし、何もしてあげられない無力な自分……
霧島も組長の言っている事の正しさなんてものは霧島が1番理解している。
でも、霧島に出来るのは……残党潰ししか出来ないから……今まで彼はそうして生きてきた。
そうする事しか知らないのです……
だから、巻き込んだ奴らが……そして自分自身も……許せないから……だから彼は残党を潰す。
私が八重花ならやっぱり目覚めた時に居て欲しいって思う。
八重花も霧島を心配してたし何より大丈夫だったったんだって思わせてもらいたい。
でも、霧島の立場に立つと……
私も多分待てません……誰かに「気にするな」とか「目覚めた時に傍にいろ」と言われても、自分のせいでと考えたら…………何より怖い……
目覚めた時に、怖がられたら……泣かれたら……拒絶されたら……そう考えてしまう。
自分がここにいるのは場違いではないだろうか?本当に居てもいいのか……もしかしたら二度と会わない方がいいのではないでしょうか……と……
自分が目覚めた時に居たとして……
なんて声を掛ければいいのか……どんな顔をすればいいのか……多分霧島もそんな気持ちだったのかな?って……だから組長命令を無視して選んだ答えだったのかな?と思いました。
だから、彼は復習に出向いた。
そこで暴れる霧島を止める組長……
ホントに組長の言う通りだと思う。
彼がやるべき事は……八重花に顔を見せる事です。
八重花が霧島を見て泣いていたのは、怖かったとか痛いとかじゃなくて、霧島を心配しての事だったのだと思います。
自分の事より霧島を心配した。
彼女はお母さんが寝たきりの状態だから霧島もそうなるんじゃないかって心配したのかな?って思いました。
このシーンもそうだけど、この作品アニメでも原作でも泣けてくる(*꒪꒫꒪)
原作読む時はベッドに仰向けで漫画を天井に掲げて読まないと涙が漫画に落ちるので、この体制が1番オススメ(*^^*)
退院した八重花の前から姿を消す霧島……
それは罪悪感からくるものです。
次に何かあるんじゃないか、その悪意が自分に向けられるならいい……自分がしてきた事だから……でも、次も八重花に悪意が向けられたら…………それが怖かった。
実は、私も切島の立場なら同じ事をしたと思う……自分のせいで誰が……大切な人が……そう考えたら怖くなる。
そんな光景は二度と見たくない……
組長が「確かに無責任だ」と言ってたけど……ホントにね……
でも、この作品の杉原の「大切なものを失う前に離れるってなんですか……迷惑かけたら謝って大切なものは、もっと強くなって守ればいいじゃねえか!」ってセリフを聞いて……
気付かされました。
自分が離れても、これからも大切な人が危険な目に会う可能性は0じゃない……
姿を消したら大丈夫なんて個人の考えでしかなくて、居なくなったら守ってあげる事も出来なくなるんですよね……
危険な目に合わせたくないから逃げ出すのでななく、危険な目に合わせたくないから守る……
きっと、それが出来る人が強い人なんだと学ばされました。
最終話は……なんか親の思いやりを少し感じましたね。
霧島が世話係になったのは、八重花の母との約束があったからかな?
もしかしたら、八重花のお母さんが組長に話してあったのかな?って思いました。
後は、霧島の亡くなったお母さんの花言葉に秘めた思いは素敵でしたね。
お母さんは花言葉を自分で調べてね。って霧島に伝えてましたね。
多分、息子に自分が秘めた気持ちを知らせたかったんじゃなく知って欲しかったんだろうなぁ〜って思いました(*^^*)
さて、見終わって……
今期で1番優しい作品でした。
今期はリコリコも好きだけど次が、この作品かなと思います。
なんか、最近こう言う優しい物語が好きになりました。
前期の、であいもん、とかもそうですが、人の心に寄り添える作品っていいですね。
少し前まで、やれファンタジーだ!デスゲームだ!ミステリーだとか好きだったのに、今はホントにこうした作品が好きになりましたね。
原作も読みましたが、正解でした。
いい話も多いし2期も是非お願いしたいですねw