Acacia さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
むせる。
2023.05.04追記。どうしてもこの文章を付けたかったので
12話より
「君の為なんだ。何故わからない」
「違う。世界の為なんでしょ」
「同じことだ」
{netabare}表面的に観ると吉松の使命故の狂気に視えるが
「私にとっては君は世界と同義だ」
と愛情故の狂気とも解釈できるやりとりが大好き。{/netabare}
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2023.02.24追記。ネタバレだらけです。
Blu-ray全巻購入完了。ファンブックや設定資料集にも
眼を通し、本編を通して再度観終えたので追記です。
他の方のレビューを読んでとても参考になり、
再視聴で試してみたのが、吉松の視点で物語を観てみる事。
千束側に感情移入した視聴者には、狂気を孕んだ演出と振る舞いで、千束に一方的に
望まぬ十字架を背負わせようとする狂人として
ヘイトを集めている様に見えますが、
関連書籍を読んで驚いた新事実。
1.{netabare}アラン機関が対象者に二度支援する事は禁じられている。{/netabare}
2.{netabare} 真島はアランに支援されるまで眼が視えていなかった。{/netabare}
特に重要なのが1で、吉松は千束の替えの心臓をアニメ1話が始まる前には
既に用意していた事が終盤で解ります。
愛娘の為に、禁じられた2度目の支援を…と思った矢先、
そもそも彼女が1回目の支援の時にアランと交わした契約(と、表現しときます)
「人を殺す才能」を守っておらず「人を助ける行動」をしている。
2度目の禁忌所か、1度目の支援すら問題を抱えていた。
千束の今後の運命は恐らく悪い方へと向かう事を吉松は悟ったのか、
1クールを通して、千束を救おう(人殺しをさせよう)と暗躍します。
吉松にしてみればショックだったと思います。
アランに「彼女は人を殺す才能がある」「DAに所属する彼女ならその才能で幾多の人助け(殺人)ができる」とすら上申して支援の許可を取り付けていたのかも知れません。
ここで吉松が犯した10年前の最大のミスは千束を視て「人を殺す才能」
と決めつけてしまった事。
冷血な事を書くと、人を殺すことで人が救われるケースもあると思います。
リコリスの仕事は治安維持の為の殺人ライセンスを持つ少女。正にそれです。
逆にアランに「圧倒的な眼で人を助ける才能がある」と上申したらどうなるか…?
「具体性がない」「人を助けるという曖昧な定義では支援の条件から逸脱している」
そんな返答が来ていたかも知れません。
吉松の行動を細かく追っていくと、狂ってはいるが、
娘を何としても生かしたい愛情と己の信念とで板挟みになった
悲しい父親である事が、ほんの一言の台詞、表情から汲み取れて
最終話付近でアニメーターの気合の入った彼のカットも、
狂った顔ではなく、娘を生かそうとする決意の慈しむ顔だと解った時、
吉松というキャラの奥深さを感じました。
リコリスリコイルのメインデッシュは美少女バディの美しさですが、
立場の違う人物の視点で物語を観ると、別の味が楽しめる
大変私好みの構成となっていました。
新作アニメーションの制作も決定し、まだまだ
楽しめさせてくれそうな本シリーズ。
甘々なのにこんな大人がむせる
ハードボイルドを内包している、お勧め作品です。
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仕事帰りの火曜日、ネトフリ配信日が楽しみな作品でした。
作品は命をテーマに
{netabare}薄命{/netabare}故か、夢見がちな勘で生きる天真爛漫な少女と
そんな少女と出会い生きる目的に葛藤する、合理的な少女(狂犬)。
快活に動き回る二人の姿は、娯楽として上質だったと思います。
自分は、ちょうどボトムズシリーズを観たばかりなんですが、
あの時代に跳弾を描いている事に驚きと共に、
本作は跳弾なんてなんのその、華奢な少女が巨漢をなぎ倒し、
ガンアクションとして拘る所は拘り、
嘘を吐く所は魅せで誤魔化す。
ファンタジーしてて、アニメらしいと思います。
口に運んだ瞬間、蕩ける極上な甘さにむせる。
口がほだされてくるとその甘味が快感になるスイーツの様な作品。
お勧めです。